うとうと

 薬もアルコホルもなしに得る眠りは、現と夢との境界を行き来する不思議な世界。
 カーテンの隙間から差し込む光が枕元にあるミネラルウォーターのペットボトル越しに落とす影を薄目で見ながら、波打ち際をうとうとと、チャプチャプと楽しんだ。
 この頃は薬がなくて苦しかったけれど、久し振りに楽しく夢をみた。
 醒めるのが怖いくらいに。

 一部、そっくりそのままトレースするような既視感の続くシークエンスに、たぶん未来なんだ、と思う。思い込む。
 思い込みながらうとうとと潜り込む。
 美しかった。
 美しい世界だった。
 違うのは海。
 海に憧れはない。
 でも海辺の夢だった。
 ミネラルウォーターの影が為した効果だろうか。



 映画『甘い人生』(キム・ジウン/2005韓)のエピローグを思い出した。
 醒めた私はチェジャのように泣かない。
 なんとなく、あれは未来なんだと思う。思ってがんばろっと。
2005年06月18日(土)

メイテイノテイ / チドリアシ

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