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たまのひとりごと
たま
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2002年10月21日(月)
懐かしさの匂い

さすがに朝晩は冷え始めたので、長袖のパジャマを納戸から出してきた。
お風呂上りに羽織ると、フッと昔子供のころからおなじみの「押入れの匂い」がした。
ひと季節しまい込んだ衣類や布団だけが持つ、あの懐かしい匂い。
急に7歳頃の、まだ押入れに入り込むのが好きだった子供時代にワープした。
あのころは怖いのは親だけで、世間はちっとも怖くなかった。
怪我しても、病気をしても、やけどをしても、すべて親が何とか治してくれるものと信じきっていたあのころ。
実に無防備で無垢(というかアホ)だったあのころ。
押入れに入ると、古びたようなかびたような匂いが何故か安らぎを誘っていつの間にか眠っていたことが多かった。
目覚めると夕方で怒られた。
それでも子供のころの一日は永遠に思えるほど長かった。
一年なんて気が遠くなるほど長かった。
しかし夏休みだけはあっという間に終わった。
台風が来るとすぐに停電する時代だった。
休校になって停電してろうそくを付けるのが楽しかった。
火遊びをするなと釘をさされた。
昼間から雨戸を閉めたり、お握りを祖母が拵えたりするので、台風が来るのが子供のころは楽しみだった。
秋になると鬼ヤンマ採りから赤トンボを眼を回して採る遊びに変わった。
冬になると、たまーに雪が積もった。
雪だるまを作るのが楽しかった。
雪が薄いのでグレーの小さな雪だるまだった。

しかし、いつからオトナになったのか覚えがない。
アホは今でもそのままだが、無防備というのはいつしか失った。
多分、親が弱い存在に思えたときがオトナになったことなのだろう。
そして、親がいなくなったときが初めての自立のような気がする。