へそおもい

2004年01月31日(土) あけち

実は小学校高学年から中学くらいのころ
本気で探偵に憧れていたのだ。

怪人二十面相シリーズをよみこんで
探偵七つ道具をそろえたり、
クラスで探偵団をつくって
尾行の練習もした。
少年探偵団のラジオはかかさず聴いて
主題歌の楽譜はとりよせた。

そのころ仲の良かった友だちは
わたしのことを
“あけち”と呼ぶ。
もちろん明智小五郎のあけちである。

あれから
二十年近くたった今でも
わたしをあけちと呼ぶ人が
ひとりいる。
彼女は東京にいるので、
日常生活は重なっていないのだが、
ときどき連絡をとったり
ホントにたまに会ったり。

メールやはがきのやりとりで、
“あけちは元気?”
とかいう風に普通によばれると、
ちょっとうれしはずかし
ドキドキするのだ。

先日、
ドラマで藤井隆が明智小五郎役で、
“あけちさん!”とか
呼ばれているのをみたら
なんとなく
くやしい気持ちになった。
彼女を他の男にとられたような気分とでもいおうか?

あけちとよばれると
夜道で誰かにクロロフォルムをかがされても、
あやしい車につれこまれても、
怪物が襲ってきても、
智恵と行動力でなんとか
最終的には大丈夫になるような
そんなチカラを持った気になる。

実際そういう危険にさらされる想像をしては
そこから華麗に脱する方法を考えてばかりいた。

あたまの中はそればかりで
恋やら彼氏やらそういう色っぽい話からは
かけはなれた女子中学生。
ペンライトとか縄梯子とか針金とか
そろえてはコーフンしていた女子中学生。

今おもうと
あの頃の自分が
すこし不憫な気にもなる。


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はたさとみ [MAIL]

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