ひどく疲れた気分で目がさめた。
おもうようにいかぬ夢をみて、 顔が枕にうまっていて苦しかった。
はっきりと目がさめると なにやら音がなっていることに 気がついた。
その音は輪郭がうすく、 ノイズのようなものだったので 最初は気がつかなかったのだが、 音として聴くとものすごい音量だ。
部屋のどこかから なっているのだろうか。 天井だろうか となりの部屋だろうか。
キョロキョロしたが どうやら外のようだ。 外とおもえば外からだ。
サイレンにしては輪郭はうすい。 金属同士がふれあうような音。
そうだ。 UFOかもしれない。
いよいよ30歳にして UFOと遭遇するのか!
恐いのとわくわくするので そーっと窓をあけた。
雨がふっていて 商店街の屋根がみえた。
音は商店街の屋根の上の 空のあたりからきこえるようだった。
UFOじゃなかったか。 しかしすごい音量だ。
窓をしめて ふとんにもぐりこんだ。
同じアパートの下の人が 窓をあけてしめる音が聴こえた。 ひとりぼっちじゃないのだ。
そのうち 自分の中から 音が聴こえるような気がしてきた。
自分の脳みそで音がなっている。 皮膚が金属的な感触になって 音に共鳴しているような気がしてきた。 自分はとうとうおかしくなってしまったのか。 本当に音がなっているのか。
なにもかもが不確かで しかたがないから まあ眠ろうとおもった。
この世界で生きていくのは とても暗くて辛くて エネルギーを使う苦しい作業だ。
それが基本だから 自分が楽しくなるように、 彩りをつけてやらないといけないのだ。 意志をもって挑まないといけないのだ。
うとうとしている中に、 そんな あきらめるような 前向きなような 変な感覚がただよっていた。
きっと わたしたちが いま生きている世界は 大きな流れの ほんの一部なのだ。
普段は 今の世界のことしか みえないけれど ところどころ どこか別の場所と 繋がることもあるのだろう。
朝おきたら 音はなかった。
夢だったのかもしれないと おもったけれど あの変な感覚は しっかりと 残った。
今夜は 泡盛をのんでいる。
おいしくて うれしい。
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