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■ ニルスのふしぎな旅(1)/セルマ=ラーゲルレーヴ
1)児童書だから1日ですぐに読めるだろうと思っていたら、意外にもはかどらない。はかどらないと言っても、悪い意味ではない。まず馴染みのない名前を読むのに時間がかかるのと、次から次へと事件が起きて、しかも日記のように日付がついているので、あれから何日たったっけ?などと気になって、また前に戻ったりする。ニルスの1日はとっても長い。とても同じ24時間とは思えない!はかどらないといいつつも、十分楽しんでいる。
悪い意味の「はかどらない」がひとつあるとすれば、翻訳だ。 日本語として通じていない部分がかなあるので(親子2代にわたって訳しているのに)、そこで考え込んでしまうのだ。
小人になってしまったニルス(動物たちからは「親指さん」か「ちびっこ」と呼ばれている)だが、ドブネズミの集団をやっつける方法は、ハメルンの笛吹きそのもの。この本が書かれたのは1800年代だが、そうするとハメルンのほうはもっと以前ということになる。
2)児童書で文字も大きいのに、だいぶ時間がかかった。 でも面白かった。思いのほか風景描写が多く、北欧の風景などはほとんど未知の世界なので、それを想像しているだけで時間がかかる。
それにしてもニルス、普通の大きさの人間だったときはとても悪い子だったのに、ちびっ子になってからは、急にいい子になり、一緒に旅をしているガチョウのモルテンや旅の仲間のガンのアッカなどを助けようと奮闘する。みんなも「親指さんなら助けてくれる」と全幅の信頼をするまでになる。 それはどうしてだろう?普通の大きさだった時にはわからなかった、弱いものの立場がわかったからだろうか?たまに家や人間の社会が恋しくなるけれど、みんなと旅をするのが楽しいから、元に戻りたいなどとはこれっぽっちも思ってはいない。思ったとしてもすぐに忘れて、あれやこれやの手を尽くして、みんなの危機を救ってやるのだ。
これからまだまだ冒険しながらスウェーデンを縦断していくのだが、ニルスの冒険だけでなく、その中にちりばめられた北欧の神話や伝説も興味深い。
2002年03月04日(月)
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