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 穴(BOOK PLUS)/ガイ・バート

「穴に入ったら二度と元には戻れない。『蝿の王』『蜂工場』を超える恐るべき傑作」、「スピード感と素晴らしいエンディングを持つ力強い作品」、「印象的で、恐るべきデビュー作」、「とてつもなく邪悪な雰囲気をただよわせたサスペンス」、「衝撃的なラストに、読者はただ驚くしかないだろう」

本のオビにはこうあった。
しかし『蝿の王』は名前は知っているものの未読、『蜂工場』に至っては初耳というくらいだから、比較はできない。それを超えるのかどうかはともかくとしても、「傑作」とは言えないだろう。

授業の自然観察旅行をさぼって、仲間たちが学校の忘れさられた地下室に集まる。「人生の真実を知る実験」というその計画を言い出した当の本人が来ないままに、集団生活が始まる。キャンプ気分で楽しんでいたのもつかの間、何かおかしい、なぜ彼は来ないのか、このままでは死んでしまう・・・。

遊びで始めたはずが、実は恐ろしい殺人事件になろうとしていたという話なのだが、すでに映画になっている作品だが、映像なら面白いかもしれないが、文章では若者たちの会話がくだらなくて退屈。最近こういった映像を意識して作られたような小説が多いのには閉口させられる。

この計画を思いついたマーティンの動機もその後も不明なので、唐突に話が始まり、中途半端に終わる気がする。この経験がのちに彼らにどんな影響を与えたかもわからず、最後にはこれを書いた女性(仲間の一人)は精神病であるとなっているなど、わけがわからない。結局精神病患者の作り話だった(これが衝撃のラスト?)ということなのか?

会話が大部分なので、あっという間に読めたけれど、変な小説だと思うだけで、特に何も残らない。いろいろ手を尽くして書いてはあるものの、どれも中途半端で未熟に思われる。どこが傑作なのかよく分からない。


2002年03月06日(水)
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