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■ シッピング・ニュース/E.アニー・プルー
1) ラッセ・ハルストレム監督の映画「シッピング・ニュース」の原作。
<クオイル> 不器用な三十男。三流新聞を解雇され、二人の娘、叔母と父祖の地ニューファンドランドへ渡る。
<ペタル・ベア> クオイルの妻。浮気性で夫を苦しめた挙句、交通事故死。
まだ物語の冒頭で、クオイルの三流ぶりと、妻の事故死までしか読んでいないが、この後の展開を考慮に入れずに言うと、この奥さんのような暮らしをしてみたい。こんなに浮気性で、好き勝手なことをやっていても、ダンナが許してくれるというのがうらやましい。あはは!(^^; 結局神様の罰があたって、事故死してしまうのだけど、美人薄命というか、そういう死に方もいいじゃない?なんて・・・。
2) 3分の1くらいまで来た。 もろもろのそれまでの生活を捨てて、叔母と子どもたちと一緒に父祖の地、ニューファンドランドに移り住み、そこの新聞社で港湾ニュース(シッピング・ニュース)を書き始めたところ。今までも失敗ばかりの人生で、ここでもまた今のところ失敗ばかり。それでも子どもたちのために、冗談を言ったり、おもちゃを買ってあげたりする姿には好感を覚える。
でも、ラッセ・ハルストレム監督の映画の原作ということがなかったら、果たして読もうと思っただろうか?なかなか文章に馴染めないので、ひっかかってばかりいる。でももう少しがんばってみよう。登場人物もストーリーもけして悪くはない。
3) 3分の2まで来た。 けしてつまらないわけではなく、むしろなかなか面白いと思うのだが、今まで読んだ小説とは趣が違うので、非常にとまどっている。 ただ、この小説がどこに向かっているのかとか、はっきりしたテーマとかが、なかなか見えてこない。好奇心にかられて一気に読むといった類の小説ではなさそうだ。
4) 結局、行き着く先は何だったのだろう? 燃えるような恋でなくとも、幸せになれるってこと? ともあれ、主人公クオイルにとっては、めでたしってことだろう。
この小説は、何も急いで読む必要のないものだった。各章が、それぞれ独立した物語となっていて、しかも全章が関連がある。したがって、いつも手の届くところに置いて、1章ずつ読んでも、全く差し支えないような感じだ。クオイルの日常を切り取った断片が、それそれに短編小説となっているのだ。また各章の頭に引用されているロープの結び方などにも意味があって、それぞれの章の内容を象徴しており、それがそのままタイトルのようにもなっている。
ロープの結び方の絵がついているので、そのたびにああして、こうしてと考えていると、やたらに時間がかかってしまう。これは暇な時にでも、パズルを解く感じで眺めればいいのだが、つい気になって、あれこれ悩む。
何より困惑して、時間がかかったのは、省略が多いためだ。誰が、どこで、というのがだいぶ省略されているので、話の途中で、唐突に違う話になり、読み間違ったか、ページでもとばしたかと思い、また前に戻るというのを何度も繰り返した。いまだに、誰がどこでしたものかわからない部分があるほど。これは翻訳者も困っていたようで、そのせいか、日本語として通じていない、理解できない部分も何箇所かあった。この人の本を原書で読むのはかなり困難に違いない。
全体としては、面白かった部類に入るだろうが、なんとなく映画っぽい。映画ではどうなっているだろうと想像しながら、映像を思い浮かべて読む(映画はまだ観ていないが)といった感じだった。
2002年03月17日(日)
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