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■ ニルスのふしぎな旅(2)/セルマ=ラーゲルレーヴ
原題『ニルス・ホルゲルソンのふしぎなスウェーデン旅行』(Nils Holgerssons underbara resa genom Sverige)。日本で最初に翻訳が出たのは1918年、『飛行一寸法師』というタイトルで、第一部のみが出版された。全訳は、物語が書かれてから75年もたった1982年に出された、この偕成社文庫が初めて。
いたずらっ子で、動物をいじめるのが好きなニルスは、自分の家にいるトムテという妖精をいじめた罰として、小人にされてしまい、白ガチョウのモルテンの背中に乗って、ガンの群れと一緒にスウェーデン中を旅する。
第2部はスウェーデン各地の民話なども絡めて、風景や動物達の生態が描かれているのだが、人間に破壊されていく自然の様子も描かれている。こういった事からニルスは、「幸福というものは他のものを愛さなくてはやってこないのだ」ということに、気づいていく。 たくさんの動物や人々を助けながら旅を続けるニルスだが、そうしようと意識してするわけではなく自ら自然にそうしているのだ、と読んでいるほうも徐々に気づく。知らないうちに、いたずらっ子のニルスは良い子になっているのだ。例え自分の命が危険にさらされようとも、何事にも動じず、淡々と自分のできる仕事をこなしていくニルスは、いつの間にかヒーローになっているのだ。
2002年05月04日(土)
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