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 マンスフィールド・パーク/ジェーン・オースティン

ファニー・プライスは兄弟姉妹が多い貧しい家庭に生まれ、哀れに思った伯父(サー・トーマス)と伯母(母親の姉)によって、「マンスフィールド・パーク(マンスフィールド荘園)」で養育されることになる。もともと控え目な性格の上に、自分の家ではないという遠慮と、ノリス夫人(一番上の伯母)の厳しく不公平な扱いによって非常にみじめな思いをしていたが、従兄のエドマンドの温かい思いやりのおかげで、美しく賢明で確かな分別を持った女性に成長する。

そんな状況の中、マンスフィールド・パークの牧師館に、ヘンリーとメアリー・クロフォード兄妹が牧師の妻である姉を頼ってやってくる。ここから様々な事件や問題が起こり、ファニーの立場もいたたまれないものとなり、幼い頃から抱き続けてきたエドマンドへの愛も、諦めなければならない事態となっていく・・・。

冒頭は、細かい人間関係を掴むためにスローペースだったが、佳境に入るや、途中でやめられないくらいに夢中になってしまった。この作品は、一般的な人気の点では『自負と偏見』と『エマ』にもう一つ及ばないとのことだが、個人的にはその二作より、この『マンスフィールド・パーク』のほうがはるかに面白かった。

他の作品は他人事としてただ面白く読んでいたが、これに関しては我が事のように感情移入し、胸を打たれ、身につまされる思いがした。主人公ファニー・プライスは自分とは全く違うキャラクターだが、それを越えて深く理解でき、共感を覚えることができた。

自分の言葉ではなかなか思いを伝えきれず、もどかしい思いをしているので、あとがきにあった尊敬するサマセット・モームの言葉を引用する。一部は他の作品でも引用したことがあると思うが。モームは『世界の十大小説』では一般的な人気を考慮して『自負と偏見』を採り上げているが、『読書案内』の方では『マンスフィールド・パーク』を推薦している。

「私はジェイン・オースティンが英国のもっとも偉大な小説家であると主張しようとは思わない。・・・彼女は完璧な作家なのである。確かに彼女の世界は限られており、彼女が取扱うのは地方紳士、牧師、中産階級の人達の狭い世界である。しかし彼女ほど鋭い人間洞察力を持った者が、彼女以上に精妙かつ適切に人間の心の奥底に探りを入れた者が、あったろうか。・・・彼女の物語には大した事が起る訳ではなく、おおかた劇的な事件は避けられているにもかかわらず、どうしてそうなるのかは私にも判らないのだが、次には何が起るのだろうと知りたい気持ちに促されて、次々と頁を繰らずにはいられない。これは小説家に欠くことの出来ない才能である。・・・私はジェイン・オースティンほどこの才能を充分に備えた者をほかに思い出せない。ところで私の目下唯一の困難は、彼女の数少ない作品の中で特にどれを推薦すべきかである。私自身は『マンスフィールド・パーク』が一番好きである。ヒロインがやや道徳的な堅物で、相手の男が些か勿体ぶった頑固者であることは認めるが、私は気にしない。この作品は賢明で、気が利いていて、優しさに富み、皮肉なユーモアと精妙な観察力の遺憾なく発揮された傑作である」
─サマセット・モーム

これまでは私自身は『説得』が一番好きだったが、改めて比べてみると(もちろん甲乙つけがたいのだが)、モーム同様『マンスフィールド・パーク』と言えるかもしれない。六大作品の最後にこの作品を読んだのは、フィナーレを飾るにふさわしい選択だったと思う。


2002年06月07日(金)
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