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■ 遠い音/フランシス・イタニ
『遠い音』/フランシス・イタニ (著), 村松 潔 (翻訳) 単行本: 526 p ; サイズ(cm): 19 x 13 出版社: 新潮社 ; ISBN: 410590048X ; (2005/08/30)
出版社 / 著者からの内容紹介 音のない世界が、こんなにも豊かだったとは……。静寂の大地カナダで、戦争の世紀を生き抜いた聾唖の女性の半生を、実話をもとに力強く描いた感動作。
忙しさもあってなかなか読めなかったので、図書館で延長しようかとも思っていたのだが(冒頭では読むのをやめようかとも思った)、昨日までに半分、今日一気に半分読み、無事返却することができた。
冒頭であまり乗れなかったので、本当に中断しようかと思っていたのだけれど、これは無理しても読んでよかったなあと。いろいろと感想はあるが、お祖母さんが死んだところで、思わず涙した。結局お祖母さんの深く強い愛情は、最後に自己犠牲という形で完結したわけで、どんな状況でも、自己犠牲の精神には泣けてしまうという自分にまた気づいた次第。
耳の聞こえない世界についての感想や、戦争の悲惨さ、男女の愛について思うことはたくさんあるが、もっとも感動したのは、やはりお祖母さんの自己犠牲だ。この小説の中でのヒーロー(女性だが、あえてヒーローとする)は、このお祖母さんだろう。なんて強い人なんだろうと感嘆した。私にも「オショーネシー祖父さんの麻袋」(この意味は本を読めばわかる)が必要かも。
しょう紅熱で耳が聞こえなくなった主人公に、辛抱強く言葉を教えたのも、インフルエンザで生死をさまよう主人公を看病し、逆に自分の命を縮めてしまったのも、すべてお祖母さんの自己犠牲で成り立っている。お祖母さんがいなければ、主人公の人生はずいぶん違っていたことだろう。
主人公と夫との愛も美しいと思ったが、男女の愛は人それぞれだから、特に男女間の愛で感動することはめったにない。男女の別なく、深く強い愛情はあるものだし、人間としての愛は、男女間のときめきなど関係なく存在するものだろう。そういう愛情のほうが、個人的には心を動かされる。
2005年11月03日(木)
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