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■ きらきら/シンシア・カドハタ
『きらきら』/シンシア・カドハタ (著), 代田亜香子 (翻訳), Cynthia Kadohata 単行本: 207 p ; サイズ(cm): 19 x 13 出版社: 白水社 ; ISBN: 4560047952 ; (2004/10/25)
出版社からのコメント 本書はアメリカ南部ジョージア州に住むある日系家族の強いきずなときびしい生活を描き、全米の感動を呼んだヤングアダルト小説である。著者自身も日系の3世で、デビュー以来、「ニューヨーク・タイムズ」などで新しい世代の日系作家として賞賛を浴びた。
時代は1960年代の初め、主人公のケイティ・タケシマは、美しくて勇敢で頭のいい姉のリンを心から慕い、何をするにもリンについてまわっていた。両親はアイオワ州でアジア食品の店を営んでいたが、アジア人の少ない州では商売はむつかしく、カツヒサおじさんを頼ってジョージアへ移る。父さんは日本で習得したヒヨコの雌雄鑑定士になり、母さんは鶏肉工場で働くことになった。家族の目標はお金を貯めて自分たちの家を買うこと。そのために両親は寝る間もないほどに働き、2人の姉妹もおやつを食べずに貯金をした。
リンはある日、ケイティに「町の人たちは日本人である母さんを無視している」という。そして、もしケイティをそんなふうに見下す人がいたらわたしが絶対に許さない、とも。貧しいけれどそんな姉のおかげでケイティは幸せだった。だがある日突然、その姉に思いもよらない病魔がおそいかかる。
シンシア・カドハタの『きらきら』は、読まなくてはいけない他の本がたまってきたので、読まずに返そうかと一瞬思ったのだが、返す前に一気読みした。
ああ、これってロイス・アン・ヤマナカみたいだなぁと。日系人の話って、みなこんな感じなんだろうか?なんだか切ない。ハワイに住む日系人であるロイス・アン・ヤマナカの 『ワイルド・ミートとブリー・バーガー』 は大好きで、図書館で借りて読んだあと、探しまくって、やっとBOOK・OFFで手に入れたのだが、あれも切なかった。
ただ、『ワイルド・ミートとブリー・バーガー』の翻訳はともかくとして、今回のシンシア・カドハタの本は、代田亜香子氏の翻訳が、例の金原節っぽくて、やっぱり気にいらなかった(借りる時に気づいていたが、性懲りもなく借りてしまった)。これは原書で読んだほうが絶対に感動するのではないかと思う。この文章ではなんだか白けてしまって、ぐっとこない。テンポもいいし、感動する要素もいっぱいあるのに、もったいない。
日系人が書く小説では、日本語で「ご飯」だとか「酒」や「餅」だとかでなく、「GOHAN」や「SAKE」や「MOCHI」と書かれているのが、ある意味とても新鮮で、また奇妙な感じを受けるのが面白かったりする。音は同じなのに、見た目で印象が全然変わる。だから原書で読んだほうが、そうした面白さも味わえていい。
けれども、日系人の小説に共通して言えるのは、やはり暗いということ。日本から離れざるを得なかった彼らの辛い歴史を、どうしても避けて通れないのだろうなと。それに、人種差別という問題もあるし。日系人に限らず、移民はみなそうなのかもしれないが、どの小説も、とても切ない。
2005年11月22日(火)
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