ビー玉日記 | きのう もくじ あした |
2006年01月19日(木) 気魄 一緒に映画館にゆき、席とりの出来ない私を見た女友達が意見をしてくれた。気魄が足りない、というのである。「ええかっこしい」だとも言われた。 「待ってたら、席なんかひとつもないのよ。あんた、女の幸せ、とり逃すよ」 その通りである。こういう人間は晩婚である。 この友人は私と同い年だが、早々とエリートと結婚して、三十前に三人の子供を生み上げ、来年はおばあさんになる。 向田邦子著『無名仮名人名簿』(文藝春秋)「席とり」より なるほどぉー。 そういうしくみか。 私も、電車であれ、映画館であれ、みんなが必死に席をとろうという時、一人で一歩引いてしまう方だ。 私はそこまでしなくてもいいや、と思う。 やっぱり向田さんと同じで、浅ましいと思って必死になることをためらってしまう。 何のことであっても、本当は、必死に自分の分を手に入れようとするのが本来あるべき姿なんだろうなあ。 例えば、極端な話だけど、友だちと同じ人を好きになるとか、付き合っている人が他の誰かと私を天秤にかけるとか、そういうことが起こった場合でも、おそらく私は「私はいいや」って考えると思う。 「これは私のものだから誰にも渡さない」という執着心に欠けるのは、ある意味、長女の宿命のような気もする。 お気に入りのものを「これほしい」って年下の子に言われた時に自分が持っているよりその子が喜ぶ方がいいという考え方を身につけ、全てのものは一人で独占できるものではないとあきらめている。 やさしさとは違う。あきらめなのだ。 そういう意味で、やっぱり私は冷たいんだろう。 絶対に手放してはいけないものを見極めて必死につかみとっていかないと、ぼんやり一生が終わっちゃうんだなあ、と思う。 そんなことをのんびり考えている時点でまったく危機感がないのだが。 |
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