ニッキ ゆり 【HOME】
- 2003年05月12日(月)
月曜日は2限目だけの授業で、お昼には終わってしまう。
友達と自転車に2人乗りをして
3キロ先のデパートまで見てるだけーのウインドウショッピングをしに行った。
久しぶりのデパートで2人共いい年してはしゃぎまくって
広いデパートの中を歩き回った。
ゲームセンターで久々のプリクラを撮り
一服しようと喫煙所を探した。
今まであった場所に灰皿はなくて、「健康増進法」のために
デパートの中の灰皿は全て撤去されていた。
仕方なく外に出て入り口の灰皿の前で休憩。
「どこ行くー?」
「どうしよっかぁ。」
「まだ7時だねぇ」
「うーん。お金もないしねぇ。」
「帰ろっか。」
外は明るかったけど、時計を見るともう7時で
課題のプリントが終わっていなかったのもあって
早めに切り上げることになった。
「久しぶりに美容院の前通っていかない?」
わざとらしいよ、なんて言われながらも
帰り道は美容院の前を通る、少し遠回りの道を選んだ。
いつもお店の中で働いている姿を横目で見ながら通り過ぎる。
いない時もあって、そういう時は思った以上に落ち込んでしまうんだ。
美容院の看板の近くに自転車を止めて
「それじゃ。また明日ね」
そう言った瞬間だった。
友達の後ろの方から魔法使いのあの人が歩いてきた。
「あ!」情けないことに思わず出たコトバはそれだった。
「おぉー!久しぶり!」
「久しぶりです!」
思ってもいなかったハッピーがワタシに振りかかってきた。
今、ワタシの目の前にいるのは
いつも横目で見ていたあの、大好きな魔法使いのあの人だった。
前と同じバーバリーのストライプのシャツを着ていた。
「何してたの?」
「今デパート行って来て、その帰りなんです。」
「え!今さっき俺も行ってたんだよ。明日美容師の運動会があってさ」
「運動会?!」
「そうそうー。走ったりするの。」
今さっきまでワタシたちが居たデパートに
魔法使いのあの人もいたなんて。
すごい偶然。すごいよ!すごいよ!!
直視してしまった。
こんな偶然、めったにないよ。
お店の外で、しかもこんなに普通に話せるなんて。
夢みたいで嬉しくて嬉しくて
ずっと話していたかった。
帰り際、手を振ってくれたけど
恥ずかしくて振り返せなかった。
興奮しながら友達に電話をかける。
声が大きいと笑われた。
「ワタシ髪の毛ボサボサじゃなかった?」
「そういえば、話しながら髪の毛直してたね(笑)」
嬉しさのあまり、ワタシはどんなことを話したのか思い出せなかった。
ただ、ワタシの送ったメールの内容をちゃんと覚えてくれていて
美容院の前にあるレンガの植木に腰掛けて話す姿勢をとってくれたことは
はっきりと思い出せる。
毎日頑張ってたご褒美なんだ。
だからこれからも頑張らなくちゃ。
捨てようと思っていた思い出も
もう少しだけ留めておこうと思った。
モノを捨てても過去は捨てられない。
一緒に歩いて行くことに限界を感じたときに
よく考えてどうしようかって決めたらいい。
どうしてそこまで必死に抱えようとするのか。
落としたものは泣く泣く諦めがつくけれど
自分の手で地面に置いたら
その瞬間、一気に全てが無くなってしまうような気がするから。
いらないモノでも一緒に抱えていたい。
安心するから。
時として、それらがワタシ自身を傷つけるものだとしても。
ワタシはそうやって歩いてきた。
だけど、今度こそ自分の手で地面に置いて歩いていけるような気がする。
一個ずつ、一個ずつ。
たまには二個ぐらい。
そうやって光の射す方へ歩いて行けるんだ。
山積みになって前が見えなかった。
きっと少しずつ道しるべが見えるようになるはずだ。