【復活!】ダイエットなDIARY
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2000年11月02日(木) 出会いのタイミング

今日は仕事もあり、ウォーキングは出来なかった。

いつも思うことであるが、本には出会いのタイミングがある。

いま、笠井潔を読んでいる。
『バイバイ、エンジェル』(創元社推理文庫)が非常に興味深かったからである。

これは高校生のころ、角川文庫版を買ったのだが、そのときには他のものを読んでいたので読む前に友人に貸してしまい、そのままどこかへ行ってしまっていた。

この作者には『ヴァンパイアー戦争』というエンタテインメントのシリーズものもあるが、これは3巻ぐらいで飽きてしまった。

また鋭いミステリー評論を書く人で、山田正紀の『神曲法廷』の解説などには感心させられた覚えがあった。

そういうわけで長らくペンディングしていた(実に17年ぶりぐらい)『バイバイ、エンジェル』を読んだのである。
最初に書いたように、とても興味深く読んだ。

そして、高校生のころに読まなくてよかった。
その頃は現象学など知らなかったからである。
また、第一次世界大戦の文化史的意味を指摘している本でもある。
それは、ここ数年、オレが追求しているテーマでもある。
作者が言っている様に、これは彼の「観念批判」の思想を物語化した本である。
それでいて、推理小説としても成功している。
幾世代か後には「目の強い子供たち」が生まれてくる、というクライマックスの主人公の台詞は感動的だった。

高校生の頃には理解できなかったに違いない。
一度すれ違ってしまい、17年ぶりに出会った本であるが、その時間は無駄ではなかったように思う。

早速、彼の他の作品をすべて入手した。
『テロルの現象学』(ちくま学芸文庫)などの思想・評論系のものも含めてである。
とりあえず、これから『バイバイ、エンジェル』で登場した矢吹駆を主人公とした連作を読み始める。
『サマー・アポカリプス』夏の黙示録、という意味か?

しばらく楽しみは続く。


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