2007年04月07日(土) |
主人公補正が大嫌いです。 |
自分がいかに与えられていたかを、ユーフェミアは改めて突きつけられた思いだった。 ブリタニア帝国の皇族、しかも有力な貴族である母親と、屈指の実力者である姉を持つ彼女が手に出来ないものなど、世の中に存在しないのではないかと勘違いしてしまうほどに僅かであった。なによりも、実姉であるコーネリアは真実ユーフェミアを深く愛し、ブリタニアの上流階級にありがちな肉親の愛との疎遠からも守られた。 物理的にも精神的にも傲慢に恵まれた自分は、何も望む必要がない。願う前からすべてを与えられ尽くすユーフェミアはそう感じる一方で、思春期の愚かな女の子然とそんな自分に虚無感を抱き続けていた。 そんな風に自分が考えていたことがまるで嘘のようだと、死に侵食されながらユーフェミアは今思う。
スザクが泣いている。微笑む。泣きながら必死に笑う。
もっともっと笑って欲しいと思う。彼の傍にいたいと思う。彼が私のために流す涙をもっと見たいと思う。 あまりにも強い欲望が己の裡から果てを知らないように溢れ出て、ユーフェミアが自分がまったく変わってしまったような気すらした。
そんな自分を知れただけでも、スザクに出会えただけでも、生きて良かったと、どんなことが遭っても、やっぱり生まれて来て良かったとユーフェミアは稲妻のように思う。
ああ、でもやっぱり、スザク。 あなたの笑顔を見ていたかった。一番近くで、ずっと見たかった。 それが私の願いだった。
---------- ルルーシュの何が嫌かというと、「ナナリーのため」という第一前提が完全に崩壊しているところです。
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