TALES OF ROSES

2005年09月02日(金) TATOOの話

友人Nが、TATOO(入れ墨)を入れるから
その下絵を描いてちょうだい、と くったくなく笑って言った。

若い頃の話ではない。

お互い、幼稚園年長の子供がいて、役員の仕事をまじめに
やっていた頃の話だ。

Nは、美人でスリムで、そして幼稚園お母さん方と一線をひくように
「おしゃれ」だった。

新しい雑誌を見て、新しい服を買って、アパートの一室は
服で埋まってるという、
翌日着ていく服を、部屋のトルソに着せて、コーデイネイトを考える、
そういう「超おしゃれママ」だった。



入れ墨の下絵のことは 私は 最初は 相手にしなかった。

幼稚園の卒業アルバム用のイラストを頼むように
彼女は、気軽に私に言ったのだろうが。

「鳥の絵がいいの、それも猛禽類。大きく翼を広げて
 はばたいている姿を お願い。」



Nは「バラ友」だった。

一緒に、一本一本オールドローズの名前を覚え、
通販で買って、それが咲いたと言っては
飛んで見に行っては 一喜一憂し、
来年は何を植えようか、何を買おうか、どう植え付けしようか
時間のたつのも忘れて話し込んだ。

彼女の一階のアパートのテラスは、美しく花で飾られた楽園だった。

あけびのつるのバスケット、夫君が流木で作ったベンチ、
ハンギングからこぼれる花達も、
イギリスからタネを取り寄せて咲かせた花達も
すべて見る人を幸せにした。



それが、なぜ、TATOOなのか。

そのつながりは まったくわからず、しばらくほって置いたのだが
ある日曜日の朝、テレビでアンデスの空を飛ぶ鷲の姿が映った。

「あ、Nが欲してるのはこれか。」と思った。
Nは、アンデスを舞台にした小説を一本書いていて、親しい
主婦仲間で回覧したこともある。

私はすぐ描いて それを FAXで送信した。

Nは、喜び、そして、
夫君の運転で栃木の彫り師のところまで行き、
右肩後ろから背中に、大きく翼を広げて飛ぶ鷲のTATOOを入れて帰ってきた。


彼女が、離婚したのは、その一ヶ月後だ。


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