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2001年12月25日(火) ■ |
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メリークリスマス |
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色薄い?
クリスマスの今日、友人に誘われて初めて釜ヶ崎へ行きました。 釜ヶ崎とは、日雇い労働の方々や路上生活の方々が多く暮らす地域。 西成教会の金井牧師中心に、「いこい食堂」で様々なサポートや炊き出しなどを行っておられます。 私の学校ではYWCAクラブを中心に有志が積極的に参加しているのですが、 今まで「一度は行こう」と思いつつ、六年間一度も行った事がありませんでした。 理由は至って下らない。「熱いご飯が持てない」(炊き出しでおにぎりを作る上で超根本的作業) 今日は皆さんに、各教会から有志で作られたお弁当やプレゼント(帽子とか懐炉とか)を 配ると言うもので、これなら私でも出来ると思い切って。 出来ないから無理!じゃなくて、やろうと思う事が大事なのにね。握り飯くらい作れるようになれ。
通天閣がすぐ側に見える。 そんな都会の象徴のような場所のすぐ脇に、こんな街があるんだと言うのが何故かショックで。 ショックと言っても、「ガーンッ」と言うショックではなく、新しい色んな物を知って感じた衝撃です。 行く前はとにかく、いわゆる理想的(?)意気込みもなく、ただ好奇心でした。 それに反して、どんな所なんだとすごく怖かった。 いざ行ってみると、勿論自分の住む地域とは違った雰囲気だけどだからと言ってどうとでもなく、 色々考えていた自分が恥ずかしくなりました。偏見を持っていたと言うことだろう。 寧ろ、往来をたくさんの人が歩いていて露店やら色々あって、活気と言うか何かが溢れていたような。 自分の街などと、確かに「におい」は違ったんですが。 よく、映像なんかで再現される戦後の闇市…勿論私はそちらの実際を見た訳ではないのに、 何故かそんな印象を受けました。
ドヤと言う安いホテルがたくさんあって、(ホテルと言いつつアパートのように使われている) でもそこは当然お金もいる訳で、仕事の寮とかも身分提示がいる訳で。 ここ暫くでドヤがどんどん、そう言う面までカバーしてくれる福祉施設に変わってきたと聞きました。 顔をしかめて避ける”一般人”と、そう言う事を考える人達の違いはなんだろう。 豊かなのはどっちなんでしょうね?
1500個ほどのお弁当や蜜柑、プレゼント。 5時からの配給の2時間ほど前から順番に並んでいる人。 狭い部屋にダンボールに詰めて並べると、物すごい量だと感じるお弁当も、 いざ公園にて配り始めるとあっという間。勿論今日、公園にいらした方が全てではない。 年間200〜250人、凍えて、あるいは飢餓で病で、亡くなっていくのです。 今日来ていらしたうちの学校のY先生が仰った言葉。 「君達の家の前で倒れていたら事件やけど、ここで倒れていても対して見向きも去れずに終わる」 理由は、”どこの誰とも判らず証明できないから”。部屋も借りられず病院にも行けない。 こんな状態でこんな落差で、何が平等で何が平和なのか判らない。
倒れられた方を二人見ました。 お一人は判りませんが、目の前で見た方は恐らく癲癇(てんかん)の発作によって。 癲癇とは発作的に痙攣を起こし、意識を失って倒れ、手足もがき泡を吹く症状です。 ざっとしか知らないんですが…(前にテレビのポケモンで問題になったのは癲癇だっけ?) 道に倒れ、後頭部を強かに打ちつけたのだろう、真新しく赤い血が流れていました。 傷自体は大した事はないとは思うのだけど、頭や額は出血がひどいんです。(衝撃は判らない) Y先生が倒れた方が舌によって喉を詰めないようにか、ハンドタオルを噛ませていました。 その場を通り過ぎたおっちゃんが「嫌やねー」と見飽きたように言っていました。 私は…ただ、真っ赤な血を見て、邪魔にはならないように、そして流れた血を見て 綺麗だなあと思いながら凄く怖かった。
お弁当を手渡しで一人一人に渡しました。 皆、「ありがとう」とか、そう一言を言って下さって、私は最初、「どうぞ」とか「どうも」とか しか言えなかったんですが、自然に「クリスマスおめでとうございます!」と言って、 おっちゃん達の笑顔に返すように笑えるようになりました。 恐らく、うちでダラダラ過ごすより、街中で人ごみに揉まれて過ごすよりも余程 笑う事が出来、人と接する事が出来た充実したクリスマスでした。
人に何かを話して、何かを渡して、その返事に返ってくる笑顔や言葉の中に、 共に気持ちを込めて、気持ちを渡して、気持ちを返すのが本来の形だと思うんです。 なんだかそんな事を忘れていたなあ。 幸せと言うのはモノではなく心が満たされている事で、 物質的な裕福ではなく精神的な裕福を求める事が生きる事で。 今の”当たり前”な状況に、それが”当たり前”ではない事を忘れている。 お弁当を手渡した位じゃ足りないほどの何かを受け取った気がします。 また是非機会を見つけて、釜ヶ崎に会いに行きたいと思います。
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