+女 MEIKI 息+
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2001年06月01日(金) 動く歩道は夢の中


 恐いし、緊張するしで本当に行きたくないけれど
 こればっかりは、自然治癒力は望めないので
 意を決して行って来た。

 診察用の椅子を見るだけで気分の悪くなる友人が
 どうしても治療しなければ、痛くて仕方が無かった時に
 色々と探し回って、やっと見つけた歯科を紹介してもらった。
 メゲズに最期まで治療が出来たところだからと
 一押しの歯科に行って来た。

 西新宿、都庁近くの某ビル内にあるその歯科は
 広いスペースを有していた。
 そのフロアーに辿り着くまでに、
 ビル内では誰にも会わない程に静かだった。

 目立つ目印もなく、大きな硝子ドアでさえぎられた
 そこだけが、明るい印象を与えて少しだけホッとする。
 待合室には、あたしを合わせて3名。
 かすかに聞こえる程の音楽の流れる中で、緊張は高まっていった。
 フッと見ると向かいに座る細身の女性に見覚えがある。
 長い髪で瞳の大きくスリムな、とてもお洒落な感じの女性である。
 あまりジロジロと見るのも失礼なので視線を逸らせたが
 何で知っている感じがしたのかと、思いを巡らせた。

 すぐに名前を呼ばれ、問診室に案内された。
 そこで約30〜40分の問診を受けた。
 今迄の治療経過と、薬に対する検査。
 そして、歯科に対する恐怖感、などの話しをする。

 治療の準備が出来るまで、また待合室に戻る。
 さきほど、気になっていた女性は既に治療室に行ったようだった。
 待つ間に、週刊誌を手にしたが緊張のため
 文字を読む作業が出来ない。
 ファッション系のグラビア写真をパラパラとめくるだけ。
 あら?さっきの女性だわ。
 あ、そうか!上○さくら だ。ふーん。
 芸能人も歯の治療することもあるんだ。
 単純に、そう思った。

 治療の準備が出来たからと呼ばれる。
 友人が治療してもらった先生と同じ先生が良いだろうとの配慮で
 担当医が決まった。
 治療を受ける椅子に座ると、助手の人が手首に器具を付けてくれた。
 緊張をほぐすツボを刺激する低周波を流すそうだ。
 装着すると同時に心拍数と血圧も計れるシロモノらしい。
 明るい声で担当医が挨拶と共に現れた。

 第一印象
 午後眠たい顔で、日焼けサロンに通いシャワーを浴びた後に
 スッキリとした面持ちで同伴出勤するホストと、いった感じ。
 こういった場所で白衣を着て、マスクをしているから先生なのだろうと思うだけで、全くもって他は先生という印象を受けない。
 しかもストライクど真ん中。
 首輪をつけて、引き釣り回したいタイプの ではあるが。

 で、診断結果は
 抜くなんてとんでもない!しっかり治療ができます。
 との事。
 思いっきり安堵した。

 今までとは全く違う、痛くない治療を終えて待合室に戻る。
 なんだ、やれば出来るじゃん 歯医者。

 待合室には、また見たことのある顔があった。
 これは週刊誌を見なくともすぐに、出○哲郎 と判った。
 失礼だが、緊張してる顔は笑えた。

 次回と、その次の予約日を決め、スキップで帰ってきた。

 帰りに丸善で「上海ベイビー」を買う。
 甘く蕩けるような時間の過ごし方を反芻した。



香月七虹 |HomePage