+女 MEIKI 息+
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本屋を出たところで、物凄い美形にナンパされた。 荒手の商売か、若しくは化粧品の騙し販売か、はたまた新興宗教勧誘か。 あまりに美形なので、一歩どころかニ、三歩引いた態度をとったが、相手は普通に「ねえ、お茶飲もうよ」と言うだけである。普段なら、自動販売機はソコだよとアゴで示す程度なのに、思わず目を見張らせる美形には唖然としてしまった。 そして本屋の隣は、用意されたように喫茶店である。 いつも本を買った後に必ずそこに立ち寄るので、店は怪しいところではない。
おお、これぞ正しくナンパなのね。ナンパの王道ったらこうなのね。
思い改めそれまで取った行動をきっぱりとくつがえして、それはそれは媚び諂うあたし。 相手を見る目だって、それまで斜に構えて睨んでいただろうに、なのにいきなり上目遣いに瞬き、口元だってニッコリスマイル。 しかも彼の見えないところでガムをこっそり捨てたりして、あああたしったら可愛いかしらん?オーラをぶちかまし、今思い出しても身の毛のよだつ凄まじい態度に急転直上!
彼の後ろから付いて行きながら、小さくガッツポーズを繰り返しこんなことならベタサンダルは止めておけば良かったわなどと思っていた。こんなことってどんなのよと、自問自答もしたけれどきっと顔はニヤついてたことだろう。
店に入りオーダーしたものが運ばれて落ち着いた頃から、どうも気になりだしたことがあった。 「ボクねーボクねー」と、必ず言葉の最初につけるのだ。 きっと可愛い顔をしてるから女には甘えたがるんだろうと、最初は勝手に介錯し何度か流した。
ところが、アイス珈琲にガムシロップとミルクを入れないで飲むあたしを見て 「ボクねー、そうゆう風に変ってる人好きなんだー」 「ボクの思った通り、キミって変ってるよねー(満面の笑みをたたえて)」 「ボクねー◇×★○f・・・」(その後、何を喋ってたのか忘れた)
な、なんなんだ?こいつ・・・。
「それにしても、キミって変ってるよね。変だよね。ボクねー、好きなんだなーそういう変なの。」
ひえー、恐すぎるよ。確かに変ってるさ、だから許してくれ。
だからなんなの?どこが変ってんのよ?などと、単純に聞き返してもきっと理解してはくれないだろうと思い、そのままの笑顔の彼を席に放置したまま、真っ直ぐに出口に向かい異次元と化した店から脱出した。
あーママン、知らない男の人に付いて行くと、恐い思いをするってこういうことだったのね。 天は弐物を与えずって、与えずって(リフレイン)
そのことを、友人にメールすると、友人は二者択一問題を返信してきた。
問:美形だがアホな青年と、聡明だが粘着質で臭いオヤジ。選ぶならドッチ?
美形でイタイケナ雰囲気がある聡明な少年、と答えたあたしに対しての友人からの返信は、未だに無い。
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