+女 MEIKI 息+
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ちょいとした仕事の打ち合わせを兼ねて、昼間の新宿に出ました。 話はそれほどの時間がかからなかったので、あっけなく解放。
2時・・・か。
3時過ぎなきゃ、仕込みにママは来ないだろうし。 などと考えながらも、久々にオカマのパラダイス2丁目の店に足は向いていました。 店が始まる前にちょっと新年の挨拶でもしてこようかと。 (それは体の良い考えで。本当は、マッタリと珈琲が飲みたかったのと、ママに会いたかったの単純な思惑から)
雑居ビルの2階。 外階段を、久々のヒールでカンカンと音をたてて登っていきました。 他の店ではビールケースが雑に並んでいるのに、2階のフロアーだけはキレイに重ねてありました。
あー、几帳面なママらしい。(のではなく、単に力が有り余ってるせいだろう)
ドアノブを回したけど、鍵が掛かってる。 やっぱり早すぎたか・・・。
ビールケースに腰をおろして煙草に火をつけると、夜とは違った顔の新宿の雑踏が遠くに聞こえました。雑居ビル(しかも飲み屋だらけ)の昼間は、恐ろしい程に静かです。
二本目の煙草を消す頃に、厚い外階段に通じるドア越しから浜崎あゆみの「M」の歌声が地響きのように聞こえてきました。 あ、ママだ!
店の扉の鍵を開ける彼女の野太い声に負けないように、ドアをドンドンと叩くと 「ああん?だれ?(巻き舌レロレロで)」「ドンドン叩くな、じゃかーしー!」と。
久々に来ても、何も変わってないわん。
外階段のドアを勢い良く開けてもらって(危なかった!)中に入ることができました。
店の仕込みの傍らで、美味い珈琲を入れてもらってご満悦。
「それ、飲んだら手伝いなさいよ。」そう言われたのですが、この手を見せるとあっけなく却下してくれました。その代わり、戦時中の軍医がするような治療を受けましたが。
水バンソウコウなるものを初めて見ました。聞いたことがあってもどんなものかがちょっと想像出来なかったので。 あれは、まるでセメダインです透明ボンドです。切り傷をくっ付けておくには充分過ぎるほどの接着剤です。 「ちょっと、シミルわよ。」と言われたので、やや治りかけの指から試してみました。
激シミです。痛いです。 ちょっとどころではありません。しかも、見た目どころか香りもヤヴァイ匂いです。間違ってアロンアルファとかじゃないよね?と、パッケージを何度も見てしまうほどに。最初はドロッとした水バンソウコウは、時間と共に乾燥してカピカピの透明な膜になりました。 「さ、これで水仕事もOKよ!じゃ、次ね♪」 治りかけの指でさえこんなに激痛なのに冗談じゃないよ。丁寧に辞退させていただくと、渋々違うものをもってきました。傷に付かないシートと薄手の防水テープ。「ぬ?ちゃんとあるんじゃないの!」サクサクと手際良く治療をしてもらいました。 「いくら防水だからって、水仕事は我慢しなさいよ。」そう言われてバシッと叩かれました。
オニッ!
その後、仕込みの手伝いが出来ないのなら歌を聴きなさいと強制的に、浜崎あゆみを聞かされ続けました。 サビの部分しかないような「M」ばかりを。エンドレス・・・。 MARIA愛すべき人がいて時に深く深いキズを負い、だけど愛すべきあの人に結局何もかも癒されてる、MARIA誰もが皆泣いているだけど信じていたいだから祈っているよこれが最後の恋であるように(これが最期の歌であるように)
そこへ、ママのお友達がやってきて賑わってきたのでコッソリと退散してきました。
帰りしな、傷だらけの手を労わってくれたのお友達の暖かいお言葉、忘れません。
「ワタシも一昨年の年末に伐採したところが、なかなか治らなくてね。やっぱり日陰だと生育状況が悪いみたい。かといって陽なたぼっこさせるのもアレだし。傷は乾かした方が良いのよー!お大事にね。」
貴女の伐採と、わたしの手の傷は一緒ですか。
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