なら、私はその道を行く彼を、応援するだけ。彼が大切だと言った、この場所で。「もう、行くよ」 彼女の肩に手を置いて、呟く。これで、ほんとうに最後。顔を見ると、決意が鈍りそうな自分を奮い起たせる。 彼女の顔をそっと両手で包んで唇を合わせる。触れるだけの、優しいキス。「元気で――」 いつか。そう、いつかまた君を思い出したなら、この時の想いを歌にしよう。 未熟だった自分が手放した、最愛の想いを。 それはきっと、空を翔けて君の元へ届くだろう。 幸せであろう未来の君へ――