貞子。(早矢花)のきまぐれ日誌

2001年03月24日(土) 親子ゲーム。

バイトで先週やり忘れた作業があったので、
その事を伝えておこうと思って、
バイト先に行った。

思ったより車が多くて、
仕方がないから、1番角のスペースに
正面から駐車したら、
目の前で、高校生くらいの男の子と
制服の女の子、そして多分その子達のお母さんみたいな
3人連れがいて、
丁度、母親らしき女性が男の子に財布からお金を出して
手渡していた。

男の子は金髪に近い茶髪で。
格好もジャンパーに白い裾広がりのズボン。
お金を毟り取るような動作に、普通の高校生っぽくないなァ、
あぁ、こりゃ、いわゆる「不良」って子かなと思いながら、
店内に入った。

伝達したい事は既に店長から伝えてあったみたいで。
あぁ、そんなら内定貰った事だけ取りあえず紙に書いておこう…、と
ペンを走らせていたら。

パキ−ン。

続いて「警察呼んで!ガラス割った!」という女性の声。
110に連絡しながら、バイトの子に指示を出して、
電話の向こうの警察に状況を説明する。
車もしくは自転車が突っ込んだ?と思ったが、
逃げた、というその1番に知らせ、一部始終を見ていた女性に
詳しく話を聞くと。
その女性は私が店の前で見た3人の中の母親だった。
「割った当事者の顔みてらっしゃいます?」
という私の問に、その人は、「私の息子です」と答えた。
その時は処理をしなければ行けないので何も考える余裕など無かったが、
今思うと、その人は場慣れしたような、
さほど驚いているとは思えないような、
態度だったと思う。

それからは。
店長に連絡して、割ったガラスを撤去して、
補助でレジ手伝いをして、
自分よりも年下のバイトの子に店長の代りに指示を出して。
すぐ帰るはずだったのに、結局1時間近くも要る羽目に合った。

店長が来て、話し合いの為に店内に入ったとき、
すれ違いざま母親に「警察はすぐ来る?」と切羽詰った声で聞かれた。
…何をそんなに脅えているのだろうか。不思議だった。

結局。
間が悪くて、警察の人はすぐ来れなかったけれど。
その間、店長とその母親と、逃げたけど結局戻ってきた犯人、
すなわち息子は、
弁償などの問題で話をしていた。
息子は反省をしている風な様子でもなく、
ただいらいらと動き回り、うるせぇと突っぱねて、
約束があるだとかでその場から去ろうとするのを、
母親がしがみついて抑えていた。

バックヤードで話をしていたが、
時折、母親が外や私のほうに不安そうな、焦っているような
視線を向けては「警察はまだか?」と催促していた。
そのたびに「まだです」と私は返していた。

数十分の後。
息子は止める母親も冷静に話を進める店長も無視して、
自分を優先して店から出ていってしまったらしい。
コピー機の前で、母親と店長が話をしていたが、
警察も来ないし、ある程度事態も落ち着いたので、
挨拶をして帰らせてもらった。
もともと今日はオフなのだし。

他人の家庭の問題に口を突っ込むなんて酔狂なマネは
しないけど。
勝手な感想をつづるとすれば、
彼自身の身勝手、かつ短絡的な行動によって、
それまで全く関連のない他人が迷惑を被ったと言う事は、
彼がその事に気づくのは恐らくないもしくは、
ずっと先、十数年先のことになるだろう。
自分のフラストレーションを外部、破壊行動に向けた
彼の行動は余りにも幼すぎるし、余りにも程度が低い。
…こんなふうに人を評価するべきではない事は十分承知だけど、
人間のレベルが低すぎる。
もうひとつ。
彼の母親、あの女性。
あの人自分の力で息子をたしなめる、強制する事を放棄している態度。
警察を呼んでくれと言ったあの時の態度。
他力本願なあの態度。
息子が反発したくなるのもなんとなくわかる気がする。
脅えているのもわかるけど。
あんな脅えた表情をしたら、駄目だと思った。
情けない表情をしたら、駄目だと思った。

助けを求めるのはいい。
自分で出来ない事を無理する必要はないと思う。
けれど、そこで卑屈になったり、
弱くなったりしては行けないと思った。
まかせっきりじゃなくて、
同じ位、それ以上に自分を奮い立たせなくてはいけないのではないか?
「助けを求める」という事は「自分は何もしなくても良い」ということと
同じではないはずだ。

放射状に伸びたガラスの「ひび」が、
なんだか今夜のそこにいた人間を象徴しているみたいだった。



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