貞子。(早矢花)のきまぐれ日誌

2002年01月19日(土) 阿吽。

浅草の浅草寺の仁王像のような一日でした。

出勤日だった今日は、嫌がりながらもしぶしぶ会社に行ったんですが。
なんだか朝から事務所内は落ち付きが無い。
なんだろう?と思いながら、適当に掃除していました。
聞けばいいんだけど、聞くのも躊躇われたし、
面倒だったのでそのまま、朝礼へ。

朝礼では毎朝各部署ごとに点呼を行うのですが、
生産技術の部署の課長が声を詰まらせて、点呼をするのです。
それで「あ、…もしかして」と思ったら、
案の定木曜日に工場内で事故にあわれて入院されていた
TFのOさんがお亡くなりなってしまっていた。

事故にあわれてからこの3日間、社内の方が
お祈り(…ちょっとどうだかな)して、ご無事を祈願していたのだけど。
事務所の二階で行われる神療祈願と称される宗教的な事態と、
現場の方なので接点が全くないとか、
どういった容態なのかわからない少なすぎる情報の中で、
私は実感も無くその事態を少し不気味がって敬遠しまた面白がっていた節も
あったけど、やはりこうなってしまった事については、
残念と思う同時に真剣に無事を祈っておられた方に申し訳なくもカンジタ。
その方がお亡くなりになったのは私の所為じゃないけどね。

朝礼のミーティングでは同僚の子が泣いていたけど、
なぜその子がなくのか私には理解ができなかった。
後で考えてみたら、その子は現場に行っていたとか、
同じように親族を亡くしていたとか考えられたけど。
やっぱりそんなのはこじつけた理屈であるしかないな、と思った。
そんな様で。
事務所は朝から故人の葬儀場の手配などで社長を中心とした重役や課長で会議。
私は一人喧騒から離れて経理でお仕事。
他にやることないしね。

ミーティング中に遅刻していたN班長が出社。
弁当の注文をしている私は、弁当の有無の確認をするために
N班長の上司のTリーダーに内線でその旨を伺うと。
「ん?もうすぐあがるっていってるから、いらないって」
…遅刻して早退?なんで?と思っていたら。
奥様が産気付いて陣痛が始まっているそうで。
ってことは、何?赤ちゃん?出産?
N班長はその後ご帰宅されました。

昼前までにすべての用意が出来たので、
現場の掲示板に葬儀の時間や場所を告知。
定時後、社員の方々で葬儀場までそれぞれお通夜に。
総務は先にK主務とO補佐、そして課長が行かれていたので、
先輩のMさんと新入社員4人は後から社用車で。
と、思ったら。
喪服に着替えるために家に帰ったSさんが遅刻。
そりゃ、片道で30分かかるのに
5時に会社でて6時に会社で待ち合わせって行ってるのに、
家に帰るって言う方が間違ってるに決まってる。
それに渋滞する道と時間なんだから、
考えてみたら簡単にわかりそうなことなのに。
同じくらい時間のかかるKさんは、親に届けてもらっていたけど、
そうして貰えばもっと早く行けたし自分も焦らずにいられたんじゃないの?
と、思うとなんだかこの人ムカツイた。(…ひどい?私)
え?私?
私は往復で20分あれば、充分。

天然も度が過ぎると不快なものです。

おっと、話がずれた。
で、葬儀場へ行くとすでに読経が。
そんな中お焼香を済まし、合掌を終えて、
改めて備え付けのモニターに写る故人の遺影を拝見する。
やさしいいいお顔をでした。
遺影っていうのは最近はCGで簡単に作れるそうなので、
たいしたもんだなと自分の爺さんの葬式のときに感じたことを思い出しました。
収まりきらない人の中で、ぼんやりと遺影を拝見していたら、
隣のS班長と目が合うと、S班長は悲しそうなやりきれないような小さな笑顔で、
ゴツン、と柱にひとつ頭をぶつけていました。
それが、どうリアクションしていいのかわかりませんでした。
たから少し微笑んでおきました。

で、またKさんが泣いていた。
この人やさしいのか感受性が豊かなのか情が深いのか、
それとも八方美人なのかすぐに自分と重ねて物事を考えるようなエゴイストか
ナルシスとなのかわからないな、と。
そんな事をこんな時に考える私は冷血漢のひねくれモノでやっぱり、
身勝手なエゴイストなんだろうと思った。
ちなみに卒業式なんかでもらい泣きするような奴は私のもっとも嫌いな人間のタイプです。
…ひねくれもここまでくるといっそ哀れ。

喪主代理挨拶が済み坊さんが控え室に戻り、自由になると。
付き合いの深い方々はお顔を見に、棺の方へ。
私たちは特にそうでもないので、見に行かれたMさんを待っていました。
荷物が置いてある控え室のソファの上で可愛い男の子が心地よさそうに眠っていて、
ほっぺたをつついてみたくなった。
聞けば、お孫さんだそうで。
2才くらいの小さな男の子はお父さんらしき人に手を引かれて、
一生懸命歩いていた。
ぐるりと会場を見渡せば、早退したN班長もいらして、
今日はなんていう日だろうと、人生の始まりと終わりを一遍に見た、
なんとも不思議な日だった。

「死」というものは本当に突然やってくるもので、
それはいつやってくるのかなんて、本当にわからないものなんだと。
長生きする人も居れば若くして逝く人もあり、
人がいれば居るだけ多種多様な生き様死に様があるものだと、
御年87才のうちの社長のお姿をを帰り際に見て思った。

子供のように育てた自分より若い社員に先立たれるって、どんな気分?




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