short story


2001年08月17日(金)


「すっと撫でるように」

あの人を知らない。
あの人のことはなにも知らない。

ただその言葉でもって
あの人はそこに在る。

あの人がどんな人間で
どんな生活をし
どんな時に
ああいった言葉を思い浮かべるのか
わたしはなにも知らないけれど
その中にある
わずかな・・・
「何か」が
わたしの中に入り込んでゆくのが
心地よくて
わたしは今日もあの人の言葉を
聞きに行く。

きっと
頬をすっと撫でるように
優しく笑う人なんだと
思っておこう。

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日記才人