「すっと撫でるように」
あの人を知らない。あの人のことはなにも知らない。ただその言葉でもってあの人はそこに在る。あの人がどんな人間でどんな生活をしどんな時にああいった言葉を思い浮かべるのかわたしはなにも知らないけれどその中にあるわずかな・・・「何か」がわたしの中に入り込んでゆくのが心地よくてわたしは今日もあの人の言葉を聞きに行く。きっと頬をすっと撫でるように優しく笑う人なんだと思っておこう。