「雷鳴の元」
雷鳴が雨を呼ぶ前に外へと歩き出す。生暖かい風に乗って懐かしい匂いがした。たくさんの人の背を見ながら歩くのはいつまでも慣れないものでかと言って振り返ることはしないから不思議でならない。信号が変わる度に無口になっていく自分だって確かにここにいるのに。