英国人の彼女
6年間の遠距離恋愛の末、イギリスに嫁いできました。ロンドンで息子と3人で暮らしています。

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2004年11月01日(月) 見世物

わたしが大使館で働いていた頃、友達の友達の友達とかいう他人のバックパッカーの人たちが、何度か訪ねて来ました。家に泊めてとか、車貸してとか、インターネット使わせてとか。そういう、他人に頼って当然と思っているバックパッカーが大嫌いでした。バックパッカーと十把一絡げにすべきでないのはわかっていますが、それでもわたしが2年間の辺境国勤務で出会ったバックパッカーには、ナイーブな人が多すぎるように思いました。貧乏旅行をすることが偉いとは全く思えないし、人に迷惑をかけなければ旅行できないなら、しなければいい。そう思っていました。


ある日、某国立大学院で開発を専攻しているとかいう男女3人のバックパッカー(これまたわたしの友達の友達の友達)がやってきて、「飢餓が見たいんですけど、どこに行ったらいいですか」と聞きました。


この無神経、無教養、無知。国際感覚のなさ、気遣いのなさ。もう犯罪だと思いました。そんなに飢餓が見たければ、自分で絶食すればいい。何が大学院生や、小学校からやり直せ、と本気で言いそうになりました。



そういう、見世物ではないものを、ただの好奇心で見に行く人たちが理解できませんでした。



今回の事件に巻き込まれた人についても、その行動に賞賛すべき点は何もないと思います。彼にかける言葉といえば、「戦争は見世物じゃないのがわからへんかったんか、アホ!」というくらいしか思いつきません。


それでも、助かって欲しかった。生きて戻ってきて欲しかった。



もし自分がこの事件を担当する大使館に勤務していたら、今頃めちゃくちゃ忙しくて、勘弁してよ、と思っていたと思います。日本大使館って、ロジスティック命なので、雑用係のわたしは、たぶん日本からやってきた副大臣ロジに追われて、ホテルの手配だとか、車の手配だとか、くだらない用事で寝る暇もなくなることは確実です。そんな副大臣のお世話(実際には副大臣の秘書のお世話)に、どうしようもなくうんざりするでしょうが、それでも、わたしが身を粉にして働くことで、もしかしたら人一人の命が助かるかもしれないと思えば、なんとなく頑張れそうな気もします。まあ、副大臣のマッサージや、お土産購入の準備をすることが、事件解決にどれほど役に立つのかは、果てしなく疑問ですけれど。



今回の事件について世論は冷たいようですが、それでも自業自得というような発言を聞くと、そんなことはないんじゃないか、と思わずにはいられません。


昨日、電車の中で、酔っ払ったおじさん2人が大声で、「あんなん殺されて当然やー、もっと早く死んどったら税金も無駄遣いせんでよかったんやー」と言っていました。その人たちの顔が、とても醜く見えました。




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