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2003年02月09日(日) 面白いからだらだら書いてしまった。拙すぎてすみません。遊びです。

前略 れいこ様

夜汽車の中にいる。
太宰の全集を読破するための旅だ。
酒を飲んで少し酔っている。
いつもの通り。

古い、紺色の車体。
電車の中で眠るなんて何年ぶりだろう。

窓からはオリオン座が見える。
君がよく星の話を出すものだから(池沢夏樹、読んだよ)
僕も星座下敷きとか言うくだらない文具を買ってしまった。
正直、理科が嫌いだったから
オリオン座とか北斗七星とか、
君の言うことが少しもぴんときていなかったんだ。

ふうん。と知ったふりをしていた。
御免ね。
あまり楽しそうに、君が話すものだから。

走っている途中にきぃ、きぃとベッドがきしむ。
他に客もあまり見あたらないし、
もしかするとこのまま廃車置き場に連れて行かれるのかもしれない。
それならそれで、僕はいっこうに構わない。



さっき食堂車でオムライスを食べた。

もう4年も前になるけど、
君と食べた「レッドピーマン」のオムライスはうまかったな。
早稲田の洋食屋は数年来行っていない。
懐かしくて、何度も夢に見る。

学生の頃の、あのだらんとした夏の夜は何だろうね。
不安で不安で、「意味なんて何もない」と
繰り返し日記に書いていた割に、
僕は女の子とのんきにビールを飲んでいたんだよ。

今でも変わらないのは貧乏なことくらいだ。
同じ貧乏ならマクドナルドより
500円定食を食べたいと思う。
それも変わらない。



二つ前の駅で、君くらいの年齢の少女が乗り込んできた。
僕の向かいのベッドだ。

潔い黒髪のショートヘアーで、
色がとても白い。
ニーレングスの、白のワンピースをつるんと着て
キャメルのロングコートを羽織っている。
旅行着というよりはパーティー用の正装という感じだ。
荷物もレザーの赤い鞄ひとつ。

驚いて凝視してしまった。

美しかったせいもあるけれど。

さすがの僕でも心配する。
いくら社会の「正しい」道から外れているとはいえ、僕だって常識はある。
二十歳やそこらの少女が
平日の夜中に古ぼけた寝台列車にいるなんて、(今はテスト期間中だよね)
絶対におかしい。
尋ねてみると、
「金沢のおばあちゃんに会いに行くの」と微笑んだ。
鼻にかかったセクシーな声だ。



眠くなったから今日はこの辺でやめておこう。

こんな風に女の子の話をしたら、
君に失礼なのだろうか。
僕はそこら辺の所、とても疎いので分からない。

いつも君は僕を褒めるばかりで、
なにひとつ否定しようとはしないんだね。
僕はそのことに、とても物足りなさを感じる。

きついことを言っただろうか。
それでもまた、書いてくれると嬉しい。
僕はしばらく戻らない。



敬具


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