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2003年02月13日(木) 血を採る。

花粉症の薬をもらうために大宮赤十字病院に行った。
不完全な人がたくさんいると
少しも不完全だっていうことを気にしなくてすむ。

「車椅子の人を本当にフラットな視線で眺められる社会ならば
ドラマの(主役ではなく)通行人に彼らが出てきてもいいはずだ
それが普通の道路だろう」

友達が言ったひとこと(後日松尾スズキのぱくりと発覚)に
目からうろこが落ちる思いだった。一年前。



私はどうやらマイノリティらしい。

古本屋さんが好きで、ドレステリアの服が好きで、
松尾スズキさん!と騒いで、
ママレイド・ラグを聞いて、
「ミナの新作はアーミッシュからインスピレーションを受けたんだって」
とか言っている女の子は
10万人くらいはいるけれど1000万人はいないらしい。

今までは自分と同じような子が10万人もいることを嫌がってきた。
しかしそれよりもむしろ
1000万人は私の前提を全くわかってくれないのだという心配を
しなければならないのだということに、
就職活動をしていて気が付いた。

最近「ロッキング・オンの雑誌がつまんなくなったよねー」という声をよく聞く。
私のまわりで、よく聞く。
でも同じ人が「一部上場するんじゃない?」と言う。
矛盾しているけど、
それがマイノリティの意見ということだ。



自分たちが絶対に正しいと思うことが
どこにいるかわからないものすごくたくさんの人によって
妨げられてしまうこと。

車椅子の人、目の病気の人、耳が遠い人、
病院で診察を受けるのさえつらそうなおじいちゃんや、おばあちゃんや
私の隣の小さい子を見ながら
1億分の一くらい、彼らの気持ちを想像できた。



病院はおそろしく、居心地がよかった。



私はマイノリティや弱者や、裏方やだめ人間や、
負け組みや閉じてる子に本を作りたいといつも書いている。

しかしそういう読者が実はものすごく少なく、
私のひとりよがりの意見なのかと不安になることも多い。
何度も何度も、立ち止まってしまう。




ともかく松尾スズキがユリイカに載ったことは、
光なのだ。


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