2003年03月28日(金) |
ニューズデリは騒がしい。(フィクションです) |
拝啓 王子様
色とりどりの袴が、大学構内を埋め尽くす季節になりました。 桜のつぼみは今か今かと 主役になる瞬間を待っているように見えます。 とはいえ、花開く前の 樹がぼおっとピンク色に色付いている様も 大変趣き深いもので、私は大好きです。
御無沙汰して申し訳ありません。 お変わりありませんか。
ここのところ、私用で少しばたばたと慌ただしく 便箋が切れたのに買いにいけないという不本意な日々を送っておりました。
あなたからホワイトデーに頂いた マーク・トゥウェイン「ハックルベリーフィンの冒険」、 大切に読ませてもらったわ。
私、一年生の時に偶然「米文学史」という授業のテストで 98点をとって。 それ以来米文学は大好きです。 学校でしっかり歴史をやったおかげで 作家のだいたいの立ち位置が分かるから面白い。
いつもメルヴィルのMoby Dick(「白鯨」)に挑戦しようと思うのだけれど 恐くてやめてしまう。 先生も難しいからと講読はしなかった作品なの。
生活は、相変わらずです。
あなたの小説、私が最初に読者になりたいから 書き上げたら何処にいても連絡をください。 楽しみで今からわくわくします。
ただ、あなたが遠い有名人になるのは何だか悲しい。 だからといって傲慢になるような人でないことは知っているけれど。
ニューオーダーのベスト盤ばかり聞いています。 映画「24HOUR PARTY PEOPLE」の予習がしたい、と友達に相談したら じゃあこれも、といって ストーンローゼスも貸してくれました。
映画の予告編にかかっているあの曲。 聞く度に気持ちがよくって、映画館で踊りだしそうになる。 詩の意味が通じない音楽に 高揚できるようになったのはごく最近です。 本当にこの楽しみを知れて良かった。
そういえば私は、あなたがどんな音楽を聞くかさえ知らないわ。
先日のヴェルサイユ展、楽しんでいたようで良かった。 私もあなたとの再会には感無量だったけれど 展覧会自体には正直あまりのめり込めなかったの。
満員電車のようだったから。
先日木場の東京と現代美術館で見た「days」という展示は 人もまばらでとても気持ちが良かった。 白い空間に、こつこつ響く靴音、ガラス張りの壁に反射する木漏れ日。
春の日に向いているのは あちらの辺鄙な美術館なのかも知れません。
あなたはしばらく東京に留まっていらっしゃるのかしら。 この間神保町でおいしいカレー屋さんを教えて頂いたから 是非食べにいきましょう。 どこか遠くへ旅立ってしまう前に。
とりたてたこともなく淡々と過ぎる日々。 これを幸福と呼ぶとして。 そこに狂気を見るとして。
かしこ
れいこ
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