拝啓 王子様
今夜は嵐のような天気で、 朝までに美しい桜が散ってしまうのかしら。 胸が痛みますね。 三日ほど前に神田川沿いを歩いておいてよかったと、 自分の小さな幸運にポリアンナのように喜んだ私です。
お元気ですか。 ご無沙汰していますが、お変わりありませんか。
私のほうは、大学の授業がまだ始まらないため 四年生になったという自覚もないまま 新学年を迎えました。
実をいうと最近少しまいっています。 就職では勿論、なのですがそれは予想していたことなので 敢えて書くことはしません。
他の理由というのは 友達を何人か、私の落ち度で失ったように思うからです。 原因は、約束をドタキャンしてしまったとかそんな小さなことです。 身勝手なことをしても許してもらえるだろうという甘えが、 いくつかの別れにつながりました。
何度も謝ったけれど 溝は埋まらないのかもしれません。 溝というものがなんなのかは存じ上げませんし、 人と人の距離を測ることなど出来ないのは存じているけれど たとえてこのような表現を使わせて頂くなら ということですが。
しかし、離れていくのを無理矢理引き留めるわけではありません。 何故か諦めてしまいます。 自分でも何故なのか、よく分からないのですが。
それからもうひとつ。 大切な日記を、他人に見られてしまいました。 鍵をかけてそっと戸棚にしまっていたけれど 本当に見られたくないのならいつも携帯していればよかったのよね。
自分でも、自分のしていることがよく分かりません。 よく分かっているのだけれどよく分からないことにしているのかもしれない、 そこが自分でもまいっているところですが。
深夜に「木更津キャッツアイ」の再放送を見ながら書きました。 映画化されるんですってね。 今日の手紙は、切れ味が悪いですね。
結局何をやったって「分かる」なんてことはないのだから それを承知でどこかに立ち位置を決めなければいけないというのに。 皆が、そうしているのだから。
また、書き直しますので今回は末筆ですがお許しください。 あなたの気が変わらずに、今も日本にいらっしゃることを祈ります。
かしこ
れいこ
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