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2005年02月13日(日) How can I go on without you?

前略王子様



あなたに関係あるのかないのかわからないけれど、
世間はバレンタインの三連休でしたよ。
ちょっとは私が怒っていることに気付いてくれたらうれしいわ。
そう思って手紙を書きました。

お元気ですか。

毎日寒くて
同じコートで同じマフラーで
少し飽きたけれど私は元気です。
風邪も引かずに、やっています。
そろそろ花粉症が始まる頃かな。
薬を切らさないように、薬局に行っておこうと思います。



この三日間は、
仕事のことを考えずにゆっくりしようと決めて、
色々な人に会いました。



まずは父母。

父親の誕生日だったので、
実家に帰ったのです。

うちは、ひとりっこの私がアイドルのような家庭なので
私が帰ると父も母も
「待ってたよ」ととたんに明るくなって、
最近二人で行った朝倉彫塑館の話や
私のお嫁に行く話などを長々とするのでした。

大人になって、(もう大人だけれど)
結婚して子どもを作ったら、
私が育ったこの家のような温かいうちをつくろうと
勝手に夢見ています。
私みたいな脳天気な子が、
「トイレにいきた〜い〜」と変な鼻歌を歌っているような
くだらない楽しさがあればいい気がします。

帰りには、母が家庭菜園で作った野菜を
たくさん持たされたよ。
よかったら、今度鍋でもしようね。



それから、
大阪に勤めているおーちゃんが帰って来るというので、
チエコと私と3人で、大宮で再会しました。

仕事がどうしたとか
彼氏がどうしたとか、
くだらない話ばかりなのは
高校時代と何も変わっていなくて
ミニスカートにルーズソックスだったあのころから
時間は止まったままなのに
私たちはいつの間にか23歳になっていて
出会った17歳からは
5年も経過しているという
どうしようもない事実だけが、ただ、あるのです。

おーちゃんやチエコに会っていつも思うのは、
私たちが変わらないことは、
悪いことじゃないかもしれない、ということ。

あの2年6組の窓際で、
吉本ばななと『ガラスの仮面』を回し読みしたことがふと頭をよぎる。
お弁当の時間になっても席を動かずに
もくもくとページを繰っていた私を、
受け入れてくれる人たちがいた。

そういう喜びをかみしめて、
また世知がない社会でも
しゃーないやっていこうかしらと笑顔で別れるのです。



夜は、引っ越し準備中の友人宅に、
大量の音楽雑誌を取りに行きました。
良い機会だから捨ててしまうというのを
もったいないのでもらってくることにしたのです。

部屋中にうずたかく積まれた『ロッキング・オン』『スヌーザー』、
『バズ』『ミュージック・マガジン』……。

山から数冊を拾い出し、
若いミュージシャンたちの写真を見ては
「ああスーパーカーのミキちゃんかわいいね」だとか
「ここから編集長が鹿野さんになってる」などと話した。
そのうちに友人が
「俺、よく捨てたよ。うん。俺、変われるかも!」と
ロック少年みたいなことを言い出すのを聞いて、
大笑いをしました。

大学時代の私はあなたから色々音楽を教わって、
それがあんまり今までの自分が知っていた音楽と違っていたことに
本当にびっくりしたものです。
だから、
あなたが教えてくれた『ロッキング・オン』みたいな
雑誌は私の大学時代そのものであり、
いいね、と言ってヘビーローテーションで流した曲もあれば
よく分からなくて適当に話を合わせた歌もあったけれど
どちらも大切な思い出であることに変わりはないのです。



なんだかこうして見ると
思い出の話ばかりですね。
後ろ向きな話は嫌いかしら。
だとしたらごめんね。



思い出に心が震えるのは、
その時はなんとも思わなかった普通の風景が
愛しいものとして自分の心に宿っていることに、
気付いた時です。

あなたには、そういう風景が
ありますか、ねえ、王子様。

こんなに長い手紙を書いて、
まとまりも名言もなんにもなしのまま出すのは、
つまり、
恥ずかしいからです。



好きです。
涙が出て、ひくひくして、かわいくない感じに好きです。
チョコを同封します。
鼻血でもだしやがれ。

かしこ


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