2005年02月15日(火) |
にんげんだもの〜私の受難日記〜 |
表参道で、(著名人のオフィスというのは表参道にあるものらしい)生まれて初めて「著名人」の取材。顔が小さく、お子さんがいらっしゃるのにとても若くてすてきな女性で、仕事も家事もさくさくさくさくとこなしているのだろうな、ということが話し方や身のこなしから伝わってくる。それでいて気取らず、物腰もおだやか。「ピリ辛」くらいに毒舌。「ほー」とうなることばかりおっしゃる。1時間の予定が、さくさくさく、と15分で終わる。
取材の前に、町田康『外道の条件』を読んでぷぷぷと笑うことをこの世の最高点の楽しみとし、「自立した女性ボブ」にしたつもりがここ半年美容院に行っていない、会社では相撲(しかも千代乃富士、大乃国とかあのへんの時代)の話題ばかりしてしまう私は、この世のあまりの不公平を呪い、だからといって今日は火曜日だから(ってだけじゃないけど)おしゃれっ子パークSHIMAに入ることはできず、おろおろしながら癒しの地、青山ブックセンターに逃げ込んだのであった。
しかし、受難はここからだった。
店に入ってすぐのところに、私は「イベント関連」というコーナーを発見した。そこには、「葛西薫」というすてきキーワードの入った書籍がたくさん積んであった。なぜか。それは今週末、つまり私にとっては何の予定も入ってないからオーケーよハニー、という19日土曜日に、葛西薫大先生が青ブックにきます、直接見れます、デザインについてのお話聞けちゃいます、という素晴らしい企画があるからだった。
そもそも、私は1年前まで葛西薫の「か」の字も知らなかった。何故知ったかと言えば、とても簡単、ラブリーが、葛西薫を好きだったからであった。座右の銘は「恋は盲目」、好きな人の好きなものは全部好きになる私なのですぐに一昨年の末から勉強を開始、葛西薫と書いてあるものは全て読んだ。
そんなわけで、私はすぐにラブリーとのラブラブな週末を思いついたのだった。私が「しゅきしゅき」と言って言い寄るのを「きもい」と言っているラブリーも、きっと葛西薫の力を使えば落とせるに違いない、すばらしい計画だ。よし、これだ、えいっ。
「今日仕事で表参道に来たから青ブックに寄ったら土曜日に葛西薫さんが来るみたいだよ よかったら一緒に行きませんか? すでに予定があるならいいです」
気持ち悪さを極力避け、謙虚な態度でメールを出す。とはいえ、ラブリーとは絶縁状態、きっとメールは返ってこないんだろうなあ、性格が暗くて友だちがいないとはいえ、イケメンだから彼女とデートは毎週してるんだろうしなあ、とぐずぐずしながら表参道を去ろうとしたその時、メールの着信音が鳴った。
「彼女と申し込み済みです」
ガーン。
あ、マンガだ。と私は思った。これが松尾さんが書いていた「コレハマンガナノダ」と歌い、笑いたくなる状況だったのだ。(2002年12月20日の日記参照)
そんなわけで私は、そのようなことになって振られましたので、土曜日は彼女に三行半をつきつけられながらも引き下がらないぞ、と頑張っているお友達の引越を手伝いますよ。やれやれ。
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