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2005年03月16日(水)

私の見た王子様は、一言では言い表せない魅力を持っていた。

少年のようであり同時にとても大人でもあり、
おおかた女性的(中性的)でありながら
たまにどきっとするほど男の人の顔をした。
襟元から鎖骨が見えた。

私は王子様が目の前にいるとうまく話せない。
彼が私の横でフライパンをにぎって、
油をしいて肉を炒めている時など、
彼の顔を少しも見られなかった。

王子様は私がいても、いなくてもあまり変わらないみたいに
料理を作り、
食べ、
音楽を聴いて、
眠った。

私にはそれが、少し救いに思えた。

私の声を聞いても、私の手が体に触れても、
私の目の中を覗いても、
何も感じない人がいることが、
なぜか救いだったのである。

私が眠った後、
王子様は私の耳に触れた。

私の耳は、恋をするたびにとれてしまう。

王子様が触れると、
耳がぽろっと落ちて、
彼の胸のくぼみにおさまった。

彼の胸の穴は、
私の耳でふさがったのだ。
王子様はもう、心のない人ではない。

王子様はもう、心のない人ではない。
私は明け方に泣いた。


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