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2005年03月30日(水) マスクとステロイド

今日は少し調子がいい(薬飲んでるから)。



午前中、撮影に行ったら、モデルで私の高校生時代のカリスマ、○きんこさんがいた。「ずっとファンでした! 『FRUiTS』の、細ーい三つ編みしてもこもこブーツ履いていらっしゃる表紙の号からずっと買ってました! 古着と新しい服を組み合わせてるとことか、すっごいお手本で、古着マニア、ってわけでもなく、ブランドにも頼らない感じの、ごちゃごちゃいろいろ付けてるんだけどまとまってるセンスをいつも研究してました!!!!」と思いのたけをぶつけた。なんというか、就職する前に「エディターさんになったら芸能人さんにも会いまくりで、展示会とか、行っちゃうんだろうな」という想像に、けっこう近い(といっても実は超遠いけど)仕事だった。好きなモデルさんに会えたのは感動した。だからといってそれ以上は何も感じなかった。不思議だ。



夕方、『ミリオンダラーベイビー』試写会。加賀○○こがいた。これも、「雑誌とか作ったらどんどん試写状が届いて、タダで見れるのよね! エンタメの享受はお仕事のうちなのよね!」と思っていたが、原稿がある以上そういうことはあんまり考えられない。



八時過ぎ、試写室から駅に向かって歩いたら、新橋の駅前で古本市をしていた。テレビでよく見る、噴水の広場。まあまあにぎわっている。背広の上にくたびれた「ジャンパー」をはおったおじさんたちが、会社帰りにぽつぽつのぞいているようだった。風は冷たいが、少しだけ春のゆるさが漂っている。人を優しくする空気。新潮社の日本文学全集『小島信夫』がたった315円だったので、少し迷っていたら、となりで見ていた背広じいが大量に買い占めていったのでなくなってしまった。悔しくなって、隅から隅まで棚を眺め、阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男 伝説とその世界』(ちくま文庫)100円を買って帰る。



つまり、私は今の仕事に満足しているけれど、それは、私が思い描いていたいわゆる「ギョーカイ」ってこんなところよね、という想像とは全く違う部分に対しての満足だったということです。凄い人の、ただそばにいるということは、何も凄いことではないということに、最近気付いてきている。私のリアリティは、新橋のジャンパーおやじと同じところにあるのであって、私の喜びは、ちまちまと原稿の字数を合わせたり、うんうんうなって書いたラフが、デザインとなって上がってきたりする瞬間に存在するのだと思う。



こうやって少しずつリハビリして、また書いていきたい。寒いよー。早く花粉が終わって、桜が咲いてほしい。


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