2005年09月19日(月) |
シモーヌは恋をしてる |
高円寺をぶらぶら歩いた。裏通りの古着屋さんをぽつぽつのぞく。古くてかわいい指輪と、置き時計を置いている素敵なお店を見つけた。お店のお兄さんは何も話さない。だからといって排他的でもない。
歩きながら、「こんなところにずっといたら、会社に行きたくならない?」と聞いたら、「行きたくなくなる。引っ越してからそれがとても変わった」と言う。
全ての人が、土曜日の午後のようにいつもいてくれたらいい。怒ったり嫌な雰囲気になったり、同じ話を繰り返したり、くだらなくてつまらない話題で間をつないだり、無理に笑ったり、無理に笑っていることにも気が付かないくらいになったり、そういう気持ちはもういい。
「大人になって楽になったのかもしれない」という話をした。そうかもしれない。今も仕事があるから、毎日のるかそるかで生きているけれど、それでも昔よりは、楽になった。大学3年生のころは男の子に振られて赤いペンでノートにびっしり日記を書いていた。……と、ここまで書いて、一体何を書いていたんだっけ?と思い返してノートを開いてみる。すでに破局前からだいぶ辛そうで、かなり痛いことをつづっていた。「私は彼に何もあげられない」「しかし恋愛はギブアンドテイクではないはずだ」といったことを。少し笑う。
先日、待ち合わせをしていた人が見えたので「おまたせー」と言って駆け寄ったら、にやにや笑っている。私に向かってではなく、漫画を読みながら一人でにやついているのだった。声をかけたらとても恥ずかしそうにしていた。何を持っているのか問いつめると、『地獄甲子園』という漫画だそうだ。
一人で楽しそうな人は、とてもいいと思った。長い間一人でいた人や、一人でいることを前提にどんなときも生きている人は、どこかで聞いたことのあるような話や時間つぶしのセックスに逃げたりしない。そういう種類の強さを、私は信じている。
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