毎日ありがたいことに色々な人と色々なことがあり、仕事では一週間前に決めた取材が一つひとつ終わっていく。「明日はあのラフと、あの質問票を作って、イラストの発注だ」と頭の片隅で計算しながら疲れた体で味噌汁を作る。こんな日は、書きたくなるものだ。
先日、深夜に前の彼から電話がかかってきた。近況と、『DEATH NOTE』の話など。
「今度人気漫画の編集者を取材するんだよ」と言ったら興味を持ってくれる。考えてみれば、私の仕事の話をしたのは初めてかもしれない。 「俺も聞きたいことあるから質問票と企画趣旨送ってよ」と言われ、色々とアドバイスをもらった。
彼は音楽雑誌で編集の仕事をしている。インタビュー取材は年間何百本とこなすそうだ。いつも「疲れた」「俺は体がぼろぼろだ」と弱音ばかり吐いている彼が、いざ仕事のアドバイスとなると、とても的確な解答をくれた。高い意識を持って仕事をしていることが伝わってくる。要するに、私なんかよりずっと、シゴト人間なんだよなあ。少し尊敬した。
彼は、5000〜6000字のインタビュー原稿を作るのに、1時間あれば充分だという。すげえなあ。私なんて、2000字に1時間半かけてるよ。
前にも書いたが、「音楽雑誌ってかっちょいいなあ」という気持ちは、最近一切なくなった。そういうことではないのだ。おそらく、求められている能力は、私も彼もあまり変わらない。その分、才能や頭の良さに嫉妬させられる。
インタビューの基本(メモ)
●取材の最初にこれからする質問の概要を説明
対話形式で、今の質問形式みたいにケース・スタディ別で回答もらうなら、最初に一言、必ずそれを説明する。「次の○パターンのケース別に教えて下さい〜」とか。→相手に質問の意図が正しく伝わらず、項目を分けた意味がなくなる。
●質問は、こちらの「仮説」を作ってから投げる
意図を相手に正しく伝える意味合い+相手の具体的回答引き出しやすくなる効果 「●●●というストーリー設定には、●●●●な意図(意味)があるのでしょうか?」とか。こちらの仮説を先に投げると、もしそれが全然外れていても、「いや、本当は僕としては●●●という意図があって〜」とか、具体的な反論を答えてくることが多いので、色々話を引き出し易いよ。
●誰でもわかる事実は必要最小限に省略
完全Q&Aの記事でなくて、書き原稿や表が付けられるなら、漫画のエピソード自体は、本人の口から詳細に話してもらう必要性はあんまりないのでは? 予め要点となるエピソードを抜き出しをしておいて、その場面の持つ意味を、踏み込んで語ってもらうほうが内容が濃いものになる
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