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2005年11月01日(火) 内田樹『街場のアメリカ論』

先日川村さんに借りた、内田樹『街場のアメリカ論』が面白い。内田さんの本は、深いテーマを扱っていながら本当に分かりやすいのだ。学生時代に読んだ新書『寝ながら学べる構造主義』も目から鱗だった。彼の文章を読むと、物事を分かりづらくしか書けずに「先生」などとのたまっている学者はやはりダメだと感じる。ダメではないかもしれないけれど、人気作家にはなれないよ、と思う。まあ人気作家になる気もないのだろうが、そういう人は本を出してはいけないと思う。

仕事で「図版を作る」作業をしているとき、この「分かりやすさ」を作り出す難しさ(なんだかごちゃごちゃしているけれど)にいつも気づかされる。学生時代、私は世の中に出ている雑誌は多くがつまらない、魅力がないとくだを巻いていた。しかし、社会人2年目の現在「図版の参考にしてみようかな」と数冊近くにあった情報誌、経済誌などを開くと、そこには大変優秀な作りの「かんたん、明快」なそれが載っている(たとえば改行がとっても多いとバカにされがちな中○○宏センセイの本などはかなり参考になった)。「かんたん、明快」へのプロセスは決して簡単ではない。情報をけずってけずって単純化し、読者がひと目見ただけで分かるように図版を完成させた先輩編集者の努力に、「すごいなあ」と感服されられるのだ。

今日は版元と次号の打ち合わせだった。年末までのスケジュールが決まる。12/22に責了。終わったらクリスマスだ。頑張ろう。ところで4日(金)は代休がとれた。お金のかからない程度に、小さなお出かけをしようと思う。少し暇な時間ができたので、仕事で殺伐としていた期間、やりとりがご無沙汰になってしまった人々にぽつぽつメールを出す。以前就職活動の相談でメールをくれた学生さんに今更「どうなりましたか」と聞く。私など箸にも棒にもかからない大企業に決まっただろうか、それとも就職浪人が決まって鬱だろうか、などと想像しながら。大企業に決まっても自殺する人もいれば、小さな会社で良い本を作り、増刷を重ねる人もいる。人生は分からない。

追記
そういえば先日、洋服は古着屋かネット通販でしかかったことがないつきあうことになった人に「誕生日にはマフラーとかストールとか、巻物をください」とお願いしたら「まるたんまるじぇらのがいいのかね?」と返された。自分が普段ちくちくと批判している「青山にいそうな、おしゃれさんに見られたくてたまらない人」と同じマインドで生きているかもしれない、少なくとも高円寺在住のみなさまには私の言動は知らず知らずのうちにそのように映るものかと思い、ぞっとしました。


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