罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
2002年08月16日(金) |
飼主に似るのはイヤ 缶太郎 |
ニンゲンは上のニンゲンを見て育つ。 良い所も悪い所もいっしょくたにして。
特にこういう縦割りシステムの業界はそうだと思うんですわ。 上がやってたら、それが端から見たらどんなに非常識でも日常になっていく。 そして、自分もそれをこなしていってしまう。 下にいた時、凄くイヤだった先輩の態度を、 上に行った時平然とリピートする。
…自分が、そうなるのが怖い。 ならない強さと見識があればいいのだけれど。 今のところ僕は手探り。
僕の先輩で、後輩に対する態度が横柄な人がいる。 彼の後輩は僕を含めて、『ああはなるまい』と言ったものだった。 しかし、実際一年もしてみると『ああなって』しまったヒトが多い。 悪しき伝統ほど絶えないのだなぁ。
今日、そんな態度を受け継いでしまった一つ上の先輩が問題を起こし、 先輩同士でちょっとした喧嘩になった。 先日、『あの先輩みたくなってますよ』と釘刺したばっかりだった。
何となく、その一つ上の先輩が切羽詰っているように見えた。 それこそ余命半年と宣告されたような程。 いや、皆切羽詰ってるのかもしれない。 ただ、先輩は仮面が剥げただけで。
店長が、咳をする。 ここ二週間、ずっと。治ってない。休んでない。
もう一人の先輩が、バックルームでうなだれる。 僕に気付いて、慌てて平静を装う。
件の先輩が、『俺は間違ってないだろう?』って眼で訴える。 僕が帰ろうとすると一緒に帰ろうと慌てる。 …済みませんが、独りでもう少し考えてください。 そう心の中で一人ごちて。 先輩を置いて、一人僕は逆方向へ自転車を走らせた。
強くなろう。 最初は人真似でも、間違った所を自分なりに直せるように。 過去のニンゲンのコピーじゃない、僕になれるように。
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