罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
真夜中まで残って大会の練習などど、 普段の自分では天地が引っくり返っても有り得ない事をしている所為か。 只今、外ではささやかに大雨が僕の行為を『似合わねぇー』と激励してます。 ついでに一緒に残ってる同僚に 『…この調子じゃ明日は槍が降る。練習やめて遊び行って来たら?』 …などどたしなめられる始末。 僕が真面目に練習してるのはそんなに珍しいかーっ!
明日はゲイパレードがあるそうで。 どう考えても行けないのだけど、まぁ晴れてほしいなぁ。 そしてテレビに映ってたりするととってもアゲだなぁ。 いつか、こういうイベントに協力出来るような事があれば、なんて考えたり。 …女装メイク?
いつもなら日曜は仕事終わってから二丁目に飲みに行くのだけど。 明日は埼玉から脱出不能な可能性が高い為、彼と会えない。 いいもん、来週飲み会だって言うし。 でも、パレード後の二丁目ってのは…面白そうだなぁ…。 元彼とはちあわせて痛い目を見る確率は限り無く高いけどね…。
ちくしょー、ってな感じで大会用の準備に怒りをぶつける。 飛び散るカラー。 煌めく剃刀。 鋏と櫛の織り成すリズムのコラボレーション。
…納得いかない。 ドライヤーを唸らせる。 ワックスをぶちまける。 繊細に毛束を織り成していく。
…納得、イかねぇー! コンセントレーションが勝手に昂ぶる。 いつもの僕から見たら確かに雨が降りそうな雰囲気。 鏡に反射して殺気が突き刺さる。
…やめた。 いい加減寝ないと明日の営業がマズい。 それに、…廻りの視線が。 うーん、意外と俺って職人気質?
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