橋本裕の日記
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2001年06月10日(日) 日本の教育・世界の教育

 毎朝、通勤で車を走らせていると、通学中の小学生のグループにであう。横断歩道では年長の子供が横断中の旗を伸ばし、幼い子供たちの安全をたしかめながら誘導している。見ていて何となくほほえましい。

 また、交通量の多い交差点には当番で立っている保護者や交通おばさんの姿があり、やはり子供たちの安全を確認しながら、黄色い旗を使って誘導している。もたもたしている子供には、「さあ、早く渡りなさいよ」などと、親切に声をかけている。見ていて、何となく安心する。

 ところで、こうした光景は日本独自なものなのだろうか。私は寡聞にして知らないが、映画やドラマを見る限り、西洋ではあまりお目にかかれない。こうして一糸みだれず集団登校するのは、世界的にもあまり例がないのではないか。

 もっとも、交差点に大人が立って、登校中の子供たちを見守ることはイギリスなどでもよくあるらしい。ただ、その場合でも、旗を出して「早く渡りなさい」と行動を直接指示したりすることはない。声をかけるときには、「よく見て、渡りなさい」と少し突き放した言い方をするようだ。

 集団登校で、保護者やリーダーの子供の指示に従うことを優先させている日本とは、教育の姿勢が随分違う。あくまで個人一人一人に状況を独自に判断させ、自分の責任で行動することを求めている。だから、「はやく渡りなさい」とは言わないで、「よく見て、あわてないで、自分で判断して渡りなさい」ということになるのだろう。

 こうしてみると、日本の集団登校の姿をほほえましいなどと、安易に考えていていいのか分からなくなる。目先の安全を優先させる日本のシステムが本当に有効なのか疑問である。すくなくとも、日本型の集団登校では個の自立はおぼつかない。安全教育と言える代物でないことは明らかである。 


橋本裕 |MAILHomePage

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