橋本裕の日記
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2001年06月16日(土) 金子みすヾの詩(3)

 大正13年の「童話」3月号に、みすヾの「大漁」という作品が載った。私の大好きな作品でもあるので、ここで西条八十の評とともに紹介しておこう。

   大漁

   朝焼け小焼だ
   大漁だ
   大羽艦の
   大漁だ。

   浜は祭りの
   ようだけど
   海のなかでは
   何万の
   鰮のとむらい
   するだろう

「金子みすヾ氏も今月は例によって光った作品を多数寄せられた。中でも『大漁』以下の推薦作は私の愛唱措かないものである。『大漁』にはアッと言わせるようなイマジネーションの飛躍がある」(大正13年3月号)

 大正15年、みすヾは西条の推薦をうけて、「童謡詩人会」に入会をみとめられた。大正15年版童謡詩人会編「日本童謡集1926年版」には女流ではただ一人、みすヾの「お魚」と「大漁」の詩が選ばれて載った。

 会員には西条八十の他、泉鏡花、北原白秋、島崎藤村、野口雨情、三木露風、若山牧水など。女流では与謝野晶子と金子みすヾの二人だけだった。このとき、金子みすヾは正式に童謡詩人として天下に認められたと言っていい。ときに、みすヾ23歳のときであった。もちろん最年少である。


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