橋本裕の日記
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2007年11月22日(木) 光は電磁波である

 太陽や月や星は光っている。物が燃えたり、金属が熱せられたりすると光を出す。あるいは、蛍のような生き物も光を出す。あるいは稲妻があたりを明るく照らし出す。

 光は植物の成長や、私たちの生活になくてはならないものだ。しかし、光の正体が何かということについて分かってきたのは、この百年あまりのことである。

 ニュートンは光を粒子だと考えていた。しかし、光が粒子だとすると、干渉とか回析といった現象をうまく説明できない。これらは光が粒子ではなく、波であると考えるとわかりやすい。

 波はたくさんの粒子がひしめきあい、それらの振動が伝わってできる現象である。水面が振動すればそこに水の波が描かれる。空気の振動が伝わったものが音である。

 それでは光は何が振動してできる波なのだろうか。光は空気がなくても伝わる。波が宇宙空間のような真空に近いところでも伝わるということは、光を波だと考えると理解できない。何もない空間を波が伝わるということがあるものだろうか。

 しかし、光が波であるという証拠は、意外なところから現れた。それは電気と磁気との研究が進んだ結果である。1883年にイギリスの物理学者マクスウエルが電気と磁気を統一する方程式を発見した。ところがよく見るとマクスウエルの方程式は波動を表しており、これを解くと、電界と磁界の複合した波が存在することがわかった。

しかも、この波(電磁波)の速度は光速度に一致している。そうするとこの電磁波こそ光の正体ではないかということになった。電磁波は空間に生じる電気と磁気によって生みだされる波だから、力学的な粒子の振動ではない。光が真空を伝播できるということも、光が電磁波だと考えれば、理解しやすくなる。

マクスウエルの予言した電磁波は4年後、ヘルツによって実際に実験室でたしかめられた。ヘルツは放電で電気火花を飛ばして、そのとき発生する急激な電場と磁場の変化が、遠く離れたところにまで伝播している事実を確かめた。

ヘルツと同じ実験を、私は30年ほど前、高校の物理の教師になった年に、学校の理科室で生徒たちを前に行ったことがある。静電気を使って高電圧を作り出し、これを瞬間的に放電させる。そうすると、教室の端に置いた放電管が光った。私や生徒たちが自分たちの目で電磁波を検証した瞬間だった。

ただし、この実験にはおもわぬ付録がついていた。当時、私が通販で買ったキットのコンピューターが、この実験のあと誤作動するようになった。調べてみると、せっかく組んだ機械語のプログラムが失われていた。実験の成功の喜びもつかの間だった。

(今日の一首)

 木枯らしもはじめて吹いていつしかや
 日向ぼっこの恋しき季節


橋本裕 |MAILHomePage

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