橋本裕の日記
DiaryINDEXpastwill


2007年11月21日(水) なぜ金属は光るか

 金属が光沢を持つのは、その表面で光が反射されるからだ。それではなぜ金属は光を反射するのだろうか。これも私が生徒や友人に好んでする質問なかの一つである。この質問に直ちに答えられる人は滅多にいない。

 そんなこと考えたことがないという人もいる。あるいは、「それは金属はそういうものでしょう」と答える人もいる。頭から興味がないよ、という顔をする人もいるし、身を乗り出して、答えを聞きたがる人もいる。人それぞれの反応が面白い。

 まず音波の場合を考えてみる。個体に音波が当たると、その力学的エネルギーで個体の表面近くの原子を振動させる。そしてこの原子の振動が気体分子の振動をひきおこし、これが反射波となって跳ね返ってくるわけだ。だから入射波と反射波の振動数や波長は等しくなる。

 それでは光が金属の表面に当たったとき何が起こるのだろう。音波とちがって電磁波は直接の力学的な波ではない。大切なことは、光とは電磁波だということである。それは電気と磁気の波である。だからこれによって揺さぶられるには電荷を帯びた粒子である。

金属の場合は豊富な自由電子が存在する。電磁波は金属表面のこの自由電子に作用する。自由電子は電磁波を吸収して、これを大きく揺すぶられる。そうすると今度は自由電子から同じ振動数の電波が放出される。こうして金属の表面から飛び出してきた電磁波の集団が反射波なわけだ。

音波はどんな物体でも跳ね返すが、電磁波はそうではない。金属が電波をよく反射するのは、それが自由電子をたくさん含んでいるからだ。そしてこの自由電子の働きによって金属は光沢を持つ。鏡に私たちの顔が映るのも、自由電子のおかげである。

(今日の一首)

 甘柿をたらふく食べてしあわせを
 かみしめている妻とふたりで


橋本裕 |MAILHomePage

My追加