橋本裕の日記
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昨日は妻と二人で、山辺の道を、桜井から巻向まで歩いた。桜井駅からかなり歩いて、泊瀬川を越えると海石榴市である。ここから山の辺の道が始まる。20年ほど前に来たとき、こんな短歌を詠んだ。
海石榴市に残る石碑に歌垣の をとめの姿ほのかに想ふ
山は紅葉のさかりだった。大神神社の大杉の前で足を止めて、やはり20年前に詠んだ歌を思い出した。
蛇の棲む三諸の杉に手を触れて 祈りし人に我もなぞらふ
大神神社の境内を抜けて、ふたたび山辺の道をたどる。途中、柿やミカンを売っていた。私たちの一袋100円のミカンを買い、口にほおばった。玄賓庵を過ぎたあたりの眺めの良い石のベンチに腰を下ろし、妻と二人でおにぎりをほおばった。
桧原神社を過ぎたあたりで、すでに12時近くになっていた。はじめは天理まで歩くつもりだったが、後半はまた来年の楽しみに残しておくことにして、そこから巻向駅に向かった。
山辺の道は何度か歩いている。8年前からはじめた「万葉の旅」も最初が「山辺の道を歩く」だった。そのときはとくさんやひらさんもいて、天理の石上神社から巻向までを6人で歩いた。
その前はもう20年近くまえになる。このときは万葉集片手に一人で歩いた。そして短歌をたくさん作り、旅の記念として「明日香風」という歌集にまとめた。上に引用した二首もそのときのものである。
山辺の道にはところどころに万葉集の歌碑が立っていて、その前にたたずんでいると懐かしい気分になる。万葉集が好きな私には、何度でも訪れたいところである。
(今日の一首)
いにしへの人も通いぬ山辺の 道のもみじは美しきかな
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