Land of Riches
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10月になり、また歳を重ねました。刻んだ数字に意味はなく、1年よく生き延びた…それだけです。 昨年のセルフ祝いは早稲田のごはん屋たまりでディナーを頂き、また行こうかと思いましたが、 2年連続で10月1日の夜に予約すると誕生日だとバレるのでは…と自意識過剰な危惧が働き、 今年は前々からSNSでフォロワーさんが口にしていて気になっていた根津の釜竹を予約しました。
大阪・羽曳野にあったうどん屋(閉店)の子息が根津で開いた店で、店主の趣味で日本酒が充実。 20世紀初頭の蔵を改装した店は外国人観光客にも人気のようで、英語メニューがあったり、 店員さんも英語で説明したりしてました。私は5500円6品のコースを予約。人気店だけあって ふらっと行って入れる店ではなく、屋外で席が空くのを待っていた人たちもいました。 (あと、日によってはうどんが完売してしまうこともあるらしい)
コースは前菜・お椀・刺身・天ぷら・うどん・デザート。刺身はマグロの赤身1切れトロ2切れが 丸皿の中央にちょこんと重なってました。質はバッチリでしたが、皿の使い方が高級だなと。 天ぷらは天然海老と穴子の2点を塩で。メインのうどんもざる(冷)or釜あげ(温)の2択で 添えられたのは天かす、つゆ、生姜のみ。デザートはいい感じに半解凍のナガノパープル3粒。 最近のぶどうは品種により皮が食べられる前提(=残せない)なので、名前を聞き逃がせません。
楽しみにしていた日本酒は、メニューの記載が銘柄+産地の県名onlyと実にシンプル。 日本酒を売りにする店ほど辛口だの大吟醸だの日本酒度だの書いてある印象なので驚きました。 位置づけも「麺前酒」で、うどんの前にワイン(!)グラスは下げられてしまったのでした。
知っている銘柄は鍋島だけで、それが一番グラスで高い(1300円)だったので手を出せず、 勘だけで頼みました。1杯目は釜竹の店主が好きな「房島屋」の超辛口。揖斐川町の所酒造は 食中酒としての拘り強く作っている酒蔵だそうで、ラベルも釜竹専用デザインでした。
2杯目は鶴岡市の山中にある亀の井酒造「くどき上手 純米大吟醸 備前雄町44%」。 備前雄町は今の日本で栽培されている中では最も歴史のある(100年以上)酒米で、ルーツは 備前刀の故郷でもある吉井川流域の岡山平野です。亀の井酒造が「くどき上手」と命名したのは トークで天下取りを果たした秀吉をイメージしてだそうで、いろんな記憶の断片が自分の脳内で 繋がっていくのは不思議な感じがしました。それだけ私も長く生きてきたということですね。
総じてお酒も食事も大変美味しくて、節目にふさわしい贅沢な時間を過ごせたと満足できました。 このクラスの店で飲食するなら、日本酒の銘柄ぐらい当然知っておけ…ということでしょうか(苦笑)
2025.10.4 wrote
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