Love Letters
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あなたに嘘を吐かれました。
嘘の上に嘘を重ねて…
いわゆる嘘の上塗り。
濃い化粧が荒れた素顔をさらけ出すように、
何度も重ねられた嘘はかえって不自然で
あっという間に私に見破られたのでした。
3月10日。
あなたに会うのはクリスマス・イブ以来、
本当に久しぶり。
私はこの日をずっと待ちわびていたのでした。
あなたに会うための白いブラウス。
カーディガンの胸元に揺れるビロードのリボン。
あなたに会える、ただそれだけで
私は嬉しくてはしゃいでいました。
あの夜、
お気に入りのバーで
あなたは気に入ったウイスキーのボトルの画像を
携帯のカメラにおさめていました。
あなたが携帯をいじっていた時、
隣から、ふと見えてしまった受信メール。
それが何を意味するのか、その時はわからないまま。
周囲の雰囲気に誤魔化されて、
そのまま楽しい時を過ごすのでした。
もう一人の冷静な私は、
心をざわざわと掻き立てる
嫌な予感を抱え込んだまま。
あなたがリザーブしてくれたホテルのお部屋は
コーナーフロントの贅沢なお部屋。
煌くベイブリッジと
大きな客船が停泊する港を一望出来る場所でした。
意図的に…ではなく、
あなたは残酷なほど自然に、
私に冷たかった…
お部屋に戻ると、
あなたは私を抱き寄せることもなく、
キス一つくれようともしないで、
服を着たまま眠ってしまいました。
前にも一度こんなことはあったはず。
酔っ払ったあなたはそのまま寝てしまい、
真夜中に起こされて、抱きしめられた夜。
けれど、
あの時の切ない気持ちとは
決定的に違う哀しみ。
胸が潰されるような孤独感。
結局あなたは、
一晩中、目を覚ましませんでした。
翌朝、
大きな窓ガラスを
幾筋もの冷たい雨が伝っていました。
一晩ずっと起きていた疲労感と眠気で
ぼんやりとした視野の中に、
心と身体がどんなに求めても求められない
他人のようなあなたがいました。
あなたは窓際の椅子に座って、
無言で携帯をいじっていました。
今まで一度だってしようと思わなかったこと。
最も軽蔑されるべき行為。
でも、私は後悔しませんでした。
もうすでに
あなたの愛を失っていると思ったから。
0574 W.S.R
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小夜子
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