ほっく。

2003年10月15日(水) ほどける


図書室にはいるとアサキがいた


「顔色わるいぞ」

ん?うん… と言葉を濁し、横の本棚のほうを向く

どうしてか目を合わせられない
わたしはもうこのひとと
目を合わせていいような人間じゃない と思えて

横を向いたままのわたしの左耳に
アサキが本を弄ぶ音がきこえる



それからどのくらいの間があっただろう

背中に
アサキの声が柔らかく降った

「……だいじょうぶか?」



瞬間。
わたしは了解した


このひとは
わかっている

わかってくれている





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