にっきちゃん。

2003年12月18日(木) 赤だし焦げた

今日。とても悔しい事がありました。
カラダ中の血が逆流してどうにかなってしまいそうでした、あーーー。



仕事中。
レストランで自分担当のお客様にお料理を出すのですが、
1組1組料理内容がみんな違うわけなんですね。


で。今日、『赤出汁のなめこ汁』を出すお客様がいまして。
それは60人くらいいた
レストランのお客様の中であたしの担当する、2名だけでした。



で。そろそろ出さねばと言うタイミングを見計らって自分であかだしに
火をつけて温めていたわけなんですよ。


この赤出汁をだすのはあたしだけだから火をつけて、止めて、というのは
全てあたしの責任なわけで。

アタマの中で時間を計算しながら他の仕事を進める。
そんな中、あるお客様に「ちょっと、ちょっと」と呼ばれ。
はい、今お伺い致しますと急いでいったところ
めちゃくちゃそのお客様にハマってしまいまして、
どうにもこうにも逃げられなかった。
お客様の話途中で無理やり切れる状況でなかった。


・・・・で。そのお客様の用事が終わりあわてて赤だしの火を止めに行くと
なんと。
たった2人分の少ない量のその液体はこげまくってお鍋の中でもう、
アメ状態。
・・・・顔面蒼白。
こんなのだせるわけない。



あわてて調理場に電話して。


「アヤですが、お忙しい所すみません。私の不注意で今日のあかだしを
焦がしてしまいまして、大変申し訳ないのですがもう一度用意していただけませんでしょうか・・・」



そしたら、もう、バクダンオチタ。

とりあえず理由も聞かずに

「ばっかやろお!!!!てめーどういうつもりなんだよ!!!2人分しかねえんだからばかみたいに火つけっぱなしにしてどーすんだよ!!!こげることくらいわかんねえのか、このノータリン!!!ばかやろうっ!!!!ガチャ!(切れた)」



「・・・・・・・・・・」・・・きれた。



・・・・もう、こんな字ではとても表現できない言い方。(涙)
あたしはこの世に生まれてきてヨカッタのだろうかと思ってしまいそうな
勢いで激しくののしられました。



ツーツー、という電話の音とさっきの大声の余韻で耳がガンガンです。


すっごい悔しかった。
なぜ、そこまでいう。
なぜ、理由を受け入れ様としてくれない。

焦がしたのはあたしが悪い。作ってくれたものを台無しにしたんだから。
だけど、・・・だけど、




「・・・・・くそっ」
思わず、壁をガン、と殴りました。


まぶたの奥の方で涙がアツクたまってきました。




「どうしたのっ!?」


みんなが心配して寄ってきました。




アタマの中はもう、悔しさと腹立たしさと、
いろいろ、いろいろでいっぱいで・・・・。
く、っと食いしばらなければ涙がボロボロでてくるに決まってます。


でもみんながあたしのこと心配してる。
ヤバイ。みんなだって手が足りてなくて分裂したいくらい忙しい。
いくら駆けずり回ったって時間と手がたりない。

あたしのために時間と精神力使わせるなんて、絶対ダメだ。


と思い、


「ん?あかだしこがしちゃって。今つくりなおしてもらうんだー、
やっちった、でへへ」


と笑ってみました。

「アホか!」と仲間が笑ってくれてほっとした。




・・・・・・・今日がもう終わろううとしているけれど
あたしは、悔しくてたまらない。
頭ごなしに全否定でどなられたこと。
なぜ、そこまで『バカやろう」?


男社会の「板場』というところはいつも、怒鳴り声が響いている。

ばかやろう!!てめぇふざけんな!!!
よく、殴られてる。
ハタからあたしが見たってそりゃ理不尽だろ、という所で殴る、怒鳴る、
罵倒する、


・・・・・・・それが伊豆の料理人の世界。
昔からそういうふうにやってきた。
あたしがいくら理解できなくたって男同士のそういう世界があること、
ずっとココで毎日見ているからわかってる。


それで絆を作っているコトだって勿論わかってる。


その男社会の『アツサ』、ステキさだって知ってる。




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だけど、どうしても悔しい。
いくら考えなおしても悔しくておなかの中がアツクなってくる。






怒鳴り返してやりたい。


「理由も聞かずにどなってんじゃねーよ!!!ふざけんなはオマエだろ!」



いくらだって言える。

だけど、感情に任せてどなる、ということがムシズが走るくらいありえないと
おもっているのでやっぱりあたしは何も言わず怒鳴り声を受け入れるしかないのだ。


静かに話し合い、気持ちを伝える、なんてことはありえないオトコノセカイの中で。





赤出汁を焦がして作りなおしてもらった。

その事実を受け入れて、次は二度とするまいと固く誓った。



あした、


「昨日はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
と、頭をさげよう。



それが、あたしのプライドだ。


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