にっきちゃん。

2004年01月12日(月) 同じ夜。

幸せそうにニコニコ食事していた、
たくさんのお客様がみんな帰り、
掃除をして、明日のバイキングの支度を全て整えて、
レストランをクローズした夜10時。


真っ暗な中、お客様も、仲間も、みんながが帰って
静まり返ったレストランで全ての備品の在庫数チェックをしていた。

一人で数える数える数えまくる、
はしおき、いち、にい、さん、しい・・・・ななじゅうはっこ。
あ、まてよ、あそこにもいっこあったな。


スプーン、いちにい、さん、しい・・・・187ほん。
あ、まてよあそことあそこにも今でてるから・・・192ほん。

グラス、器、鍋、きゅうす、ゆのみ、はし、おしぼり板、
・・・・・静まり返ったレストランに
あたしの着物のすれる音とかちゃかちゃとモノが動く音だけが
こだまする。




数えて数えて夜11時半。


ああ、つかれたなぁ・・・
あしたも5時半おきなのになぁ・・・・


なにやってるんだろ、はやく寝たい・・・

もうやだよ。









疲れたあたしの脳裏に今日、幸せそうにお酒を飲んで顔を真っ赤にして
くちゃくちゃと笑いながら「今日は最高だなぁ・・・またくるからね、綾ちゃん」
と手をぎゅっと握ってくれたおじいちゃんの笑顔がうかんだ。


久しぶりに娘が帰ってきたから三年ぶりの親子旅行なの、と
嬉しそうにごはんを食べながら教えてくれた母くらいの年のおばちゃんの
顔が浮かんだ。



ただゆっくりここでするのが本当に幸せでね・・・と月に一度は
東京から来てくれるおばちゃま4人組が温泉に入りに浴衣で歩いていく
背中が浮かんだ。




あたしはいつも笑顔だ。
いってらっしゃいませ!
きょうはゆっくりしてくださいね!!


着物を着て深深とお辞儀をする。
お礼を言う。
幸せの為に走りまわる。



こんな夜にひとり備品を数えているあたしと同じこの時間、
それぞれの人がそれぞれの形の何かを求めて
ここで過ごしている。
形は違えど、指折り楽しみにしてきた今日という日を、
別々の幸せを感じながら
みんな今ごろ眠りについているんだろう。





・・・はぁ。
やっと備品を数え終わった。







よし、



明日も絶対にがんばるんだ、と
静まり返ったレストランの電気を消しながら
心からそう思った。


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綾 [MAIL]

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