2003年05月25日(日) |
ならべること、売るということ。 |
酒販店さんを訪問すると、がっかりすることがよくあります。
お掃除が行き届いていない。 商品がほこりをかぶっている。 プライスがついていない。 お酒のポップがひとつもない。 直射日光にお酒がさらされている。
数年前のビールやお酒のポスターが色あせてそのまま張ってある(田宮二郎のお酒のカラーポスターがセピア色になってそのまま張ってあるお店を私は知っています。ある意味、お宝かもしれませんが)。
猫や犬が店頭を歩き回っている(飼っている自分は気にならなくても、お客様は気にするでしょう。口に入れるものを売っているんですよ)。
前に渡した試飲サンプルが、事務所の棚にほったらかし。 雑然とした陳列で、いったいなにが売りたいのかわからない。 などなどなど。
御店主はこぼします「お酒のディスカウントが近くにできて売れへんわ」。 なるほどそうでしょう。でも、御自身とお店がかわらないと、離れていったお客様もおいでにならないのではありませんか。
国の規制によって管理されてきた酒販業界では、ひと昔前まで、どこでも似たような価格で販売していましたから、価格競争というものがほとんどなく、メーカーや問屋さんから仕入れた商品を「ならべている」だけで売れていきました。
しかし、昭和の末年より酒ディスカウンターなる業態が勢力を増し、そこに大手スーパーが参入して今や酒の定価というものはありません。
従来型の個人酒販店が価格で勝てるわけがないのです。とすれば、価格以外で勝つ工夫をするのが商売人でしょう。「ならべる店」から「売る店」へ。ビールはともかく酒やワインならDSにならんでいない商品があるでしょう。なぜ、DSと同じ商品をエネルギーを使って販売するのでしょうか。
店頭や什器は古くても、お掃除が行き届き、お客様がおいでになったら、ハッキリした声で(安手の居酒屋のようにただがなるのではなく)「いらっしゃいませ」とあいさつをする。
自分が売りたい商品には、下手な字でも手書きのPOPをつくりアピールする。
必ず試飲をして、自分が売っている商品の味は自分のことばでしゃべれる。
精米歩合、日本酒度、酸度、本醸造、純米、吟醸、大吟醸、生酒、生貯蔵など、よく使われる業界用語は必ず説明できる。
全国の地酒を何種類も扱うのなら、必ず業務店をお得意にもち、商品の円滑な回転を心がける。
商品の温度管理を厳密にする。
自分の得意先の好みを知っていて、新商品がでたとき、あそことあそこのお家ならきっと興味をもってもらえるくらいの見当がつく。
プロなんだから、これくらいは生き残りの最低条件でしょう。
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